专利摘要:
CD138発現腫瘍細胞の間質細胞への接着を減少させる、CD138に対して特異性を有する免疫複合体、及びそれを用いる方法を開示する。CD138発現腫瘍細胞への間質細胞の接着を、それを必要としている被験体の腫瘍細胞において減少させる方法であって、前記腫瘍細胞に、前記CD138発現腫瘍細胞を標的とする免疫複合体を、CD138発現腫瘍細胞への間質細胞の接着を減少させるのに有効な量接種する工程と、任意的に、前記腫瘍細胞に、更なる細胞傷害性剤を、腫瘍細胞の増殖の阻害、遅延、及び防止の少なくともいずれかを行う量接種する工程と、を含む方法である。この接着減少により、腫瘍細胞は、免疫複合体だけでなく、他の剤、特に細胞傷害性剤に対する感受性も強くなる。なし
公开号:JP2011508738A
申请号:JP2010540132
申请日:2008-12-23
公开日:2011-03-17
发明作者:クリストフ・ウーヘレク;クリストフ・ブルエヒャー;ケネス・アンダーソン;ベンジャミン・デルケン;輝 秀島
申请人:イミュノジェン・インコーポレーテッド;ダナ−ファーバー キャンサー インスティテュート,インコーポレイテッドDana−Farber Cancer Institute, Incorporated;バイオテスト・アクチエンゲゼルシヤフト;
IPC主号:A61K39-395
专利说明:

[0001] 本願は、米国特許仮出願第61/016,614号明細書(2007年12月26日出願)、米国特許仮出願第61/087,466号明細書(2008年8月8日出願)、及び米国特許仮出願第61/087,590号明細書(2008年8月8日出願)の利益を主張し、これらの全体を参照することにより本願に援用する。]
[0002] 本発明は、抗原CD138に対する免疫複合体の使用、及び間質細胞のCD138発現標的細胞への接着を減少させ、それによりCD138発現細胞の関与する病状をより効率的に治療する、免疫複合体を含む組成物に関する。]
背景技術

[0003] CD138は、細胞外マトリックスの受容体として作用するものであり、多発性骨髄腫(MM)細胞で高発現し、MM細胞の発生及び増殖の少なくともいずれかに影響を与えることが示されている。CD138はまた、数例を挙げると、卵巣癌腫細胞、腎臓癌腫細胞、胆嚢癌腫細胞、乳癌腫細胞、前立腺癌細胞、肺癌細胞、結腸癌腫細胞、ホジキンリンパ腫細胞、及び非ホジキンリンパ腫細胞、慢性リンパ球性白血病(CLL)細胞でも発現する。]
[0004] 本発明を説明するために、特に実施に関連する更なる詳細情報を提供するために、本明細書で用いられる特許文献などの刊行物及びその他の資料は、参照することにより援用される。便宜上、これらの刊行物については、その著者と発行年度を以下の本文中に記載するか、或いは添付の参考文献に著者名のアルファベット順に従って列挙する。]
[0005] 非特許文献1は、MM細胞の表面に発現するCD138抗原に対する、マウスIgG1抗体B−B4の優れた結合性について報告している。非特許文献1はまた、エフェクタ分子としてマイタンシノイドDM1を含む免疫複合体B−B4−DM1の、多発性骨髄腫細胞に対する細胞傷害活性が高いことについても報告している(特許文献1も参照)。]
[0006] Tassoneはまた、彼の作製したB−B4複合体が、多発性骨髄腫(MM)細胞において、例えばデキサメタゾンを含む、MM患者に一般に投与される多くの薬物に対する耐性が誘導される骨髄微小環境中でさえも有効であることを示した。Tassoneの免疫複合体は、骨髄間質環境において、MM腫瘍細胞を有効に破壊することができた。]
[0007] Tassoneらは、MMの有効な治療、及び該治療に使用することができる物質の組成物の提供に寄与したが、当該技術分野には多数の要求が依然として存する。]
[0008] 米国特許出願公開第2007/0183971号明細書]
先行技術

[0009] Tassone et al. Blood,2004,104(12),pp.3688−3696]
発明が解決しようとする課題

[0010] B−B4に基づく免疫複合体を用いた改善された治療に対する要求が依然として存する。また、1以上の有利な性質を示す、B−B4に基づく免疫複合体を使用する有効な治療に対する要求も存する。免疫複合体の性質としては、好ましくは、抗原結合性の向上、特にCD138発現腫瘍細胞を含む腫瘍細胞と、それに付随する細胞に対する殺傷性の向上、及び標的へのより均一な結合性のいずれかが挙げられるが、特にCD138発現細胞に関連する病状により効果的に対抗する能力である。]
課題を解決するための手段

[0011] 本発明は、CD138発現腫瘍細胞への間質細胞の接着を、それを必要としている被験体の腫瘍細胞において減少させる方法であって、
前記腫瘍細胞に、前記CD138発現腫瘍細胞を標的とする免疫複合体、具体的には、本明細書に開示する切断可能なリンカー及びエフェクタを含む免疫複合体を、CD138発現腫瘍細胞への間質細胞の接着を減少させるのに有効な量接種する工程と、
任意的に、腫瘍細胞に、更なる細胞傷害性剤を、腫瘍細胞の増殖の阻害、遅延、及び防止のいずれかを行う量接種する工程と、
を含む方法に関する。]
[0012] 接着は、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、及びそれ以上のいずれか減少し得る、並びに
接着は、腫瘍細胞の増殖の阻害、遅延、及び防止の少なくともいずれかを行う量接種される、更なる細胞傷害性剤(即ち、上記免疫複合体の1種ではない)に対する接着媒介性薬剤耐性を含む、接着媒介性薬剤耐性の軽減をもたらすことができる、
の少なくともいずれかである。従って、免疫複合体及びこの細胞傷害性剤(1及び複数のいずれか)は連続して接種することができ、ここで細胞傷害性剤の接種は、免疫複合体の接種後であってもよく、免疫複合体との同時接種であってもよい。]
[0013] 本発明の免疫複合体は、具体的には、
(a)改変された標的抗体、及び
(b)エフェクタ分子
を含み、
均一にCD138発現標的細胞を標的とする免疫複合体に関する。]
[0014] 本発明の改変された標的抗体は、以下の(i)及び(ii)のいずれかである、
(i)CD138に対する非ヒト抗体の抗原結合領域(ABR)から本質的に成っていてもよい抗体、
(ii)CD138に対する非ヒト抗体の抗原結合領域(ABR)と、少なくとも一部がヒト抗体のものである、更なる抗体領域とを含んでいてもよい抗体。]
[0015] ABRは、
(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列のアミノ酸残基99〜111を含む重鎖可変領域CDR3、及び
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列のアミノ酸残基89〜97を含む軽鎖可変領域CDR3
を含んでいてもよい。]
[0016] ABRは、次の(a)及び(b)の少なくともいずれかを更に含んでいてもよい、
(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列のアミノ酸残基31〜35を含む重鎖可変領域CDR1、及び配列番号1で表されるアミノ酸配列のアミノ酸残基51〜68を含む重鎖可変領域CDR2、
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列のアミノ酸残基24〜34を含む軽鎖可変領域CDR1、及び配列番号2で表されるアミノ酸配列のアミノ酸残基50〜56を含む軽鎖可変領域CDR2。]
[0017] 更なる抗体領域は、
(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列のアミノ酸残基123〜448、及び
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列のアミノ酸残基108〜214、の少なくともいずれかと、
以下の(i)及び(ii)の少なくともいずれかの突然変異を含んでいてもよい、
(i)改変された標的抗体の抗体依存性細胞傷害性及び補体依存性細胞傷害性の少なくともいずれかを、維持させる或いは低下させる突然変異、
(ii)改変された標的抗体を安定化させる突然変異。]
[0018] エフェクタ分子は、リンカーを介して改変された標的抗体に結合することができる。リンカーは、ジスルフィド結合を含んでいてもよい。エフェクタ分子(例えば、DM4)は、標的抗体とエフェクタ分子との間に立体障害を生じさせてもよい。エフェクタ分子は、少なくとも1種のマイタンシノイド(例えば、DM1、DM3、及びDM4のいずれか)、タキサン、CC1065、及びこれらの類似体のいずれかであってもよい。]
[0019] 免疫複合体は、150%未満、140%未満、130%未満、120%未満、110%未満、100%未満、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、及び50%未満のいずれかのターゲティング変動でCD138に結合することができる。]
[0020] 本発明はまた、
CD138を標的とする標的剤が、免疫グロブリン重鎖及びその一部のいずれかのアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドを含み、免疫グロブリン重鎖及びその一部のいずれかのアミノ酸配列が配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有する、免疫複合体に関する。免疫グロブリン重鎖及びその一部のいずれかの定常領域は、IgG4アイソタイプ定常領域であってもよい。]
[0021] 本発明はまた、被験体におけるMMを治療する方法であって、
本明細書で特定する1以上の免疫複合体を提供する工程と、
多発性骨髄腫を治療するのに有効な量の免疫複合体を被験体に投与する工程と、
を含む方法に関する。]
[0022] 免疫複合体の標的剤は、配列番号2で表されるアミノ酸配列と少なくとも約70%の配列同一性を有する軽鎖のアミノ酸配列を含んでいてもよい。免疫複合体の標的剤はまた、配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも約70%の配列同一性を有する重鎖のアミノ酸配列を含んでいてもよい。]
[0023] 本発明はまた、
本明細書で特定する1以上の免疫複合体を提供する工程と、
治療に有効な量の免疫複合体を接種する工程であって、IgG4アイソタイプが、ADCC、補体依存性細胞傷害性、及び肝FcRのFc−媒介性標的の少なくともいずれかを緩和する工程と、
を含む、免疫複合体媒介薬物送達方法に関する。]
[0024] 本発明はまた、細胞培養物中の腫瘍細胞の増殖の阻害、遅延、及び防止の少なくともいずれかを行う方法であって、
腫瘍細胞の増殖の阻害、遅延、及び防止の少なくともいずれかに有効な量の本明細書で特定する1以上の免疫複合体を細胞培養物に接種する工程を含む方法に関する。有効な量により、CD138発現腫瘍細胞と、任意的にCD138を発現していない補助細胞、特に腫瘍間質細胞における、細胞死及び連続細胞周期停止のいずれかが誘導され得る。細胞培養物中の細胞は、癌患者から得ることができ、有効な量の免疫複合体の接種後、細胞培養物の細胞を、癌患者に再移植してもよい。]
[0025] 本発明はまた、CD138腫瘍細胞を含む腫瘍の増殖及び該腫瘍の腫瘍細胞の伝播の少なくともいずれかの阻害、遅延、及び防止の少なくともいずれかを、それを必要とする患者において行う方法であって、
腫瘍の増殖及び腫瘍細胞の伝播の少なくともいずれかを阻害する或いは低減する量の、上記で特定した少なくとも1以上の免疫複合体を患者に投与する工程を含み、
免疫複合体が、腫瘍細胞の増殖及び伝播の少なくともいずれかの阻害、遅延、及び防止のいずれかを行う方法に関する。]
[0026] 免疫複合体(1及び複数のいずれか)のエフェクタ分子は、毒素、細胞傷害性酵素、低分子量細胞傷害性薬物、ポア形成剤、生物学的反応調節物質、プロドラッグ活性化酵素、抗体、サイトカイン、及び放射性核種のいずれかであってもよい。]
[0027] 本発明の免疫複合体は、5mg/m2〜約300mg/m2の単回用量で、任意的に1時間、1日、1週間間隔、及びこれらを組み合わせた間隔のいずれかで投与してもよい。]
[0028] 1時間毎、1日毎、及び1週間毎レジメンを含む複数回投与レジメンは、本発明の一部であり、特に5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、及び23時間間隔;1日、2日、3日、4日、5日、6日、及び7日間隔;1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、及び8週間間隔のいずれかの間隔で投与することを含む。]
[0029] 本発明は、また、腫瘍の増殖及び悪性腫瘍細胞の伝播の少なくともいずれかの阻害、遅延、及び防止の少なくともいずれかを、それを必要とする患者において行う方法であって、
(a)腫瘍量を減少させるのに有効な量の、1以上の細胞傷害性剤及び放射線の少なくともいずれかを患者に投与する工程と、
(b)腫瘍の増殖及び腫瘍細胞の伝播の少なくともいずれかの阻害、遅延、及び防止のいずれかを行う量の、本明細書で特定した免疫複合体の少なくとも1種を患者に投与する工程と、
を含む、
免疫複合体が、CD138発現細胞を含む腫瘍細胞の増殖及び伝播の少なくともいずれかの阻害、遅延、及び防止のいずれかを行う方法に関する。]
[0030] 本発明の実施形態のいずれかの細胞傷害性剤は、具体的には、メルファラン、ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメサゾン、シクロホスファミド、エトポシド、シタラビン、シスプラチン、サリドマイド、プレドニゾン、サリドマイド、ボルテゾミブ、レナリドマイド、ソラフェニブ、ロミデプシン、及びこれらの組み合わせのいずれかであってもよく、抗体に基づくものであってもよい。]
[0031] 本発明は、また骨髄腫細胞の生存を抑制することによって利益を得る状態を有する被験体を治療する方法であって、
(a)本明細書で特定する免疫複合体の少なくともいずれか1種を提供する工程と、
(b)被験体に免疫複合体を投与して、被験体の骨髄腫細胞の生存及び増殖のいずれかを選択的に減少させる工程と、
を含む方法に関する。]
[0032] 本発明はまた、腫瘍の増殖及び腫瘍細胞の伝播の少なくともいずれかの阻害、遅延、及び防止の少なくともいずれかを行うための、本明細書で特定する免疫複合体のいずれかと、1以上の薬学的に許容される賦形剤と、を含む医薬組成物に関する。]
[0033] 医薬組成物は、本明細書で特定するような細胞傷害性剤を含んでいてもよい。]
[0034] 本発明は、また、腫瘍の増殖及び腫瘍細胞の伝播の少なくともいずれかの阻害、遅延、及び防止のいずれかを行うために組み合わせて用いられる医薬組成物を別々の容器に含むキットであって、1つの容器が、有効な量の上記医薬組成物を含み、別の容器が、腫瘍の増殖及び腫瘍細胞の伝播の少なくともいずれかの阻害、遅延、及び防止の少なくともいずれかを行うための、有効な量の薬剤、好ましくは細胞傷害性剤を含む第2の医薬組成物と、1以上の薬学的に許容される賦形剤とを含むキットに関する。]
[0035] 本発明は、また、CD138腫瘍細胞を含む腫瘍の増殖及び該腫瘍の腫瘍細胞の伝播の少なくともいずれかの阻害、遅延、及び防止の少なくともいずれかを、それを必要とする被験体において行う方法であって、
(a)免疫複合体を提供する工程であって、CD138に対する改変された標的抗体が切断可能なリンカーを介してエフェクタ分子に結合し、エフェクタ分子に対する立体障害がある工程と、
(b)腫瘍の増殖及び腫瘍細胞の伝播の少なくともいずれかの阻害、遅延、及び防止のいずれかを行う量の、(a)の免疫複合体を被験体に投与する工程であって、(a)の免疫複合体が、立体障害のない相当物の腫瘍増殖阻害活性を約10%、約20%、約30%、約40%、それ以上、上回る、腫瘍増殖阻害活性を提供する工程と、
を含む方法に関する。]
[0036] 切断できないリンカーを含む、免疫複合体の立体障害のない相当物の腫瘍増殖阻害活性は、切断可能なリンカーを含む、立体障害のない相当物の腫瘍増殖阻害活性を、例えば少なくとも約5%、少なくとも約10%、最大約15%上回ることができる。]
[0037] CD138に対する改変された標的抗体は、CD138に対する非ヒト抗体の抗原結合領域から本質的に成っていてもよく、CD138に対する非ヒト抗体の抗原結合領域と、少なくとも一部がヒト抗体のものである更なる抗体領域とを含んでいてもよい。]
[0038] 切断可能なリンカーは、ジスルフィド結合を含んでいてもよい。エフェクタ分子は、DM4であってもよい。免疫複合体は、医薬組成物の一部であってもよく、約5mg/m2〜約300mg/m2の量で、少なくとも1回被験体に投与してもよい。]
[0039] 本発明は、薬品として使用するための免疫複合体であって、
(a)以下の(i)及び(ii)のいずれかである改変された標的抗体と、
(i)CD138に対する非ヒト抗体の抗原結合領域から本質的に成る抗体、
(ii)CD138に対する非ヒト抗体の抗原結合領域と、少なくとも一部がヒト抗体のものである、更なる抗体領域とを含む抗体、
(b)エフェクタ分子と、を含み、
免疫複合体がCD138に均一に結合する
免疫複合体を提供する。]
[0040] 本発明は、薬品として使用するための更なる免疫複合体であって、
CD138を標的とする標的剤が、免疫グロブリン重鎖及びその一部のいずれかのアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドを含み、免疫グロブリン重鎖及びその一部のいずれかのアミノ酸配列が配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有する、免疫複合体を提供する。]
[0041] 具体的には、本発明の1つの態様では、上段落の免疫複合体は、多発性骨髄腫の治療に用いるためのものである。特に、免疫複合体は、多発性骨髄腫の治療のための薬品の製造に用いることができる。]
[0042] 本発明は、患者への免疫複合体媒介薬物送達において用いるため、特にADCC、補体依存性細胞傷害性、及び肝FcRのFc−媒介性標的の少なくともいずれかを緩和するための免疫複合体であって、CD138を標的とする標的剤が、免疫グロブリン重鎖及びその一部のいずれのアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドを含み、免疫グロブリン重鎖及びその一部のいずれかのアミノ酸配列が、配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有し、免疫グロブリン重鎖及びその一部のいずれかの定常領域が、IgG4アイソタイプ定常領域である、免疫複合体を提供する。]
[0043] 本発明は、また患者の癌治療において用いるための腫瘍細胞であって、腫瘍細胞が
(a)以下の(i)及び(ii)のいずれかである改変された標的抗体と、
(i)CD138に対する非ヒト抗体の抗原結合領域から本質的に成る抗体、
(ii)CD138に対する非ヒト抗体の抗原結合領域と、少なくとも一部がヒト抗体のものである、更なる抗体領域とを含む抗体、
(b)エフェクタ分子と、
を含む免疫複合体によって、細胞培養物中で治療されており、
免疫複合体がCD138に均一に結合する、
腫瘍細胞を提供する。]
[0044] 本発明はまた、患者の癌治療において用いるための腫瘍細胞であって、腫瘍細胞が、
CD138を標的とする標的剤が、免疫グロブリン重鎖及びその一部のいずれかのアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドを含み、免疫グロブリン重鎖及びその一部のいずれかのアミノ酸配列が配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有する、免疫複合体によって、細胞培養物中で治療されている腫瘍細胞を提供する。]
[0045] 本発明はまた、患者において、CD138腫瘍細胞を含む腫瘍の増殖及び該腫瘍の腫瘍細胞の伝播の少なくともいずれかの阻害、遅延、及び防止の少なくともいずれかを行うのに用いるための免疫複合体であって、免疫複合体が
(a)以下の(i)及び(ii)のいずれかである改変された標的抗体と、
(i)CD138に対する非ヒト抗体の抗原結合領域から本質的に成る抗体、
(ii)CD138に対する非ヒト抗体の抗原結合領域と、少なくとも一部がヒト抗体のものである、更なる抗体領域とを含む抗体、
(b)エフェクタ分子と、を含み、
免疫複合体がCD138に均一に結合する
免疫複合体を提供する。]
[0046] 或いは、本発明は、患者において、CD138腫瘍細胞を含む腫瘍の増殖及び該腫瘍の腫瘍細胞の伝播の少なくともいずれかの阻害、遅延、及び防止のいずれかを行うのに用いるための免疫複合体であって、免疫複合体が、
CD138を標的とする標的剤が、免疫グロブリン重鎖及びその一部のいずれかのアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドを含み、免疫グロブリン重鎖及びその一部のいずれかのアミノ酸配列が配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有する、免疫複合体を提供する。]
[0047] 更に尚、本発明は、CD138発現細胞を含む腫瘍細胞の治療において同時に、別々に、或いは連続して使用するための複合製剤として、免疫複合体と、1以上の癌用薬物と、を含む薬品であって、免疫複合体が、
(a)以下の(i)及び(ii)のいずれかである改変された標的抗体と、
(i)CD138に対する非ヒト抗体の抗原結合領域から本質的に成る抗体、
(ii)CD138に対する非ヒト抗体の抗原結合領域と、少なくとも一部がヒト抗体のものである、更なる抗体領域とを含む抗体、
(b)エフェクタ分子と、を含み、
免疫複合体がCD138に均一に結合し、
1以上の癌用薬物が腫瘍量を減少させることができる薬品を提供する。]
[0048] 或いは、本発明は、CD138発現細胞を含む腫瘍細胞の治療において同時に、別々に、或いは連続して使用するための複合製剤として、免疫複合体と、1以上の癌用薬物と、を含む薬剤であって、免疫複合体が、
CD138を標的とする標的剤が、免疫グロブリン重鎖及びその一部のいずれかのアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドを含み、免疫グロブリン重鎖及びその一部のいずれかのアミノ酸配列が配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有し、
1以上の癌用薬物が、腫瘍量を減少させることができる薬品を提供する。]
[0049] 上記2段落の使用の更なる態様では、複合製剤は、放射線で処理された患者に投与するためのものである。]
[0050] 代替態様では、本発明は、CD138発現細胞を含む患者において腫瘍細胞を治療する薬品を製造するための免疫複合体の使用であって、免疫複合体が、
(a)以下の(i)及び(ii)のいずれかである改変された標的抗体と、
(i)CD138に対する非ヒト抗体の抗原結合領域から本質的に成る抗体、
(ii)CD138に対する非ヒト抗体の抗原結合領域と、少なくとも一部がヒト抗体のものである、更なる抗体領域とを含む抗体、
(b)エフェクタ分子と、を含み、
免疫複合体がCD138に均一に結合し、
薬品が、放射線で処理された患者に投与して腫瘍量を減少させるためのものである使用を提供する。]
[0051] 更に尚、本発明は、CD138発現細胞を含む患者において腫瘍細胞を治療する薬品を製造するための免疫複合体の使用であって、免疫複合体が、
CD138を標的とする標的剤が、免疫グロブリン重鎖及びその一部のいずれかのアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドを含み、免疫グロブリン重鎖及びその一部のいずれかのアミノ酸配列が配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有し、
薬品が、放射線で処理された患者に投与して腫瘍量を減少させるためのものである使用を提供する。]
[0052] 上記段落では、薬品は、患者における腫瘍の増殖及び悪性腫瘍細胞の伝播の少なくともいずれかの阻害、遅延、及び防止の少なくともいずれかを行うことができる。]
[0053] 更に、本発明は、個体における骨髄腫細胞の生存を抑制するための免疫複合体であって、免疫複合体が、
(a)以下の(i)及び(ii)のいずれかである改変された標的抗体と、
(i)CD138に対する非ヒト抗体の抗原結合領域から本質的に成る抗体、
(ii)CD138に対する非ヒト抗体の抗原結合領域と、少なくとも一部がヒト抗体のものである、更なる抗体領域とを含む抗体、
(b)エフェクタ分子と、を含み、
免疫複合体がCD138に均一に結合する、免疫複合体を提供する。]
[0054] 更に尚、本発明は、個体における骨髄腫細胞の生存を抑制するための免疫複合体であって、免疫複合体が、
CD138を標的とする標的剤が、免疫グロブリン重鎖及びその一部のいずれかのアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドを含み、免疫グロブリン重鎖及びその一部のいずれかのアミノ酸配列が配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有する、免疫複合体を提供する。]
[0055] 上記2段落では、免疫複合体は、特に、個体における骨髄腫の生存及び成長のいずれかを選択的に減少させることができる。]
[0056] 更に、本発明は、被験体におけるCD138腫瘍細胞を含む腫瘍の増殖及び該腫瘍の腫瘍細胞の伝播の少なくともいずれかの阻害、遅延、及び防止の少なくともいずれかを行うのに用いるための免疫複合体であって、CD138に対する改変された標的抗体が、切断可能なリンカーを介してエフェクタ分子に結合し、エフェクタ分子に対する立体障害がある抗体を含む免疫複合体を提供する。]
[0057] 上記段落では、免疫複合体は、特に、立体障害のない相当物を約10%、約20%、約30%、約40%、及びそれ以上のいずれか上回る、腫瘍増殖阻害活性を提供することができる。]
[0058] 本発明はまた、被験体の腫瘍細胞におけるCD138発現腫瘍細胞への間質細胞の接着を減少させる方法で使用するCD138標的剤を提供する。]
[0059] 本発明は更に、被験体の腫瘍細胞におけるCD138発現腫瘍細胞への間質細胞の接着を減少させる方法で、同時に(同時投与)、別々に、或いは連続して使用するための複合製剤として、CD138標的剤と、標的免疫複合体及び細胞分裂阻害剤等の更なる剤と、を含む薬品を提供する。]
[0060] 上記段落では、複合製剤は、特に、被験体の腫瘍細胞の増殖の阻害、遅延、及び防止の少なくともいずれかを行うことができる。]
図面の簡単な説明

[0061] 図1は、結合したエフェクタ分子を有するnBT062の模式図を提供する。
図2は、BT062の化学式である。
図3は、アンサマイトシンP−3のマイタンシノールへの変換を示す(立体化学は単純化するために省略する)。
図4は、代表的なDM4の合成スキームを示す。
図5は、(nBT062のDM4への)抗体複合体化の概略図を示す。
図6は、nBT062−SPDB−DM4、nBT062−SPP−DM1、nBT062−SMCC−DM1、及びnBT062抗体のOPM−2細胞への結合の分析を示す。様々な濃度のnBT062及び複合体を細胞に与え、FACS分析によって平均蛍光を測定した。
図7Aは、MOLP−8(CD138+)及びBJAB(CD138−)に対するnBT062−DMx複合体のインビトロ細胞傷害性を表す。細胞を平底プレートで培養し、指示した濃度の免疫複合体と共に5日間インキュベートした。WST試薬を更に3時間添加して、細胞生存性を評価した。
図7Bは、MOLP−8(CD138+)及びBJAB(CD138−)に対するnBT062−DMx複合体のインビトロ細胞傷害性を表す。細胞を平底プレートで培養し、指示した濃度の免疫複合体と共に5日間インキュベートした。WST試薬を更に3時間添加して、細胞生存性を評価した。
図7Cは、MOLP−8(CD138+)及びBJAB(CD138−)に対するnBT062−DMx複合体のインビトロ細胞傷害性を表す。細胞を平底プレートで培養し、指示した濃度の免疫複合体と共に5日間インキュベートした。WST試薬を更に3時間添加して、細胞生存性を評価した。
図7Dは、nBT062−SPDB−DM4の細胞傷害活性を、遮断抗体(1μMのnBT062)の存在下及び非存在下のいずれかで分析した。
図8Aは、MOLP−8腫瘍細胞に接種した後の、経時的な(日)、PBSで処理した個々のマウスの腫瘍体積を示す。
図8Bは、MOLP−8腫瘍細胞に接種した後の、経時的な(日)、nBT062抗体で処理した個々のマウスの腫瘍体積を示す。
図8Cは、MOLP−8腫瘍細胞に接種した後の、経時的な(日)、遊離DM4で処理した個々のマウスの腫瘍体積を示す。
図8Dは、MOLP−8腫瘍細胞に接種した後の、経時的な(日)、非標的複合体huC242−DM4で処理した個々のマウスの腫瘍体積を示す。
図9Aは、MOLP−8腫瘍細胞に接種した後の、経時的な(日)、PBSで処理した個々のマウスの腫瘍体積を示す。
図9Bは、MOLP−8腫瘍細胞に接種した後の、経時的な(日)、nBT062−SPDB−DM4で処理した個々のマウスの腫瘍体積を示す。
図9Cは、MOLP−8腫瘍細胞に接種した後の、経時的な(日)、B−B4−SPP−DM1で処理した個々のマウスの腫瘍体積を示す。
図9Dは、MOLP−8腫瘍細胞に接種した後の、経時的な(日)、nBT062−SPP−DM1で処理した個々のマウスの腫瘍体積を示す。
図10は、接種後の、経時的な(日)、CB.17 SCIDマウスにおけるMOLP−8ヒト多発性骨髄腫異種移植片の平均腫瘍体積(+/−SD)を表す。
図11Aは、SCIDマウスの嵩高いMOLP−8腫瘍モデルにおける、CD138+MOLP−8腫瘍細胞に対するnBT062−DMxの抗腫瘍活性を示す。各群について、腫瘍体積を平均(+/−SD)で示す。
図11Bは、SCIDマウスの嵩高いMOLP−8腫瘍モデルにおける、CD138+MOLP−8腫瘍細胞に対するnBT062−DMxの抗腫瘍活性を示す。各群について、腫瘍体積を平均(+/−SD)で示す。
図12は、ヒト骨髄環境における、多発性骨髄腫に対するSCIDhu/INA−6モデルにおける、DMx複合体を含むnBT062の抗腫瘍効率を反映するグラフである。多発性骨髄腫細胞(shuIL−6R)により産生される可溶性ヒトIL−6受容体を腫瘍量の指標として用いた。三角:nBT062−SPP−DM1、四角:nBT062−SPDB−DM4、菱形:ビヒクル対照。
図13は、インビトロにおけるnBT062−SPDB−DM4媒介性バイスタンダーキリングを示す。CD138陽性OPM2細胞及びCD138陰性ナマルバ(Namawla)細胞を、様々な濃度のnBT062−SPDB−DM4と共に培養し、細胞生存性を測定した。OD450値は、細胞生存性の程度を表す。
図14Aは、様々なMM細胞によるCD138発現を示す。
図14Bは、DOX40細胞(上方のパネル)及びOPM1細胞(下方のパネル)の顕微鏡分析を示す。CD138発現を右側に示し、核酸を左側に示す。
図15Aは、40時間、80時間、及び120時間後の、MM細胞に対するnBT062−SMCC−DM1、nBT062−SPDB−DM4、及びnBT062−SPP−DM1の細胞傷害性を示す。
図15Bは、2日間nBT062−SPDB−DM4で処理した後の、3人の異なる患者から単離したMM細胞の細胞生存率を示す。
図15Cは、nBT062−SPDB−DM4と共に72時間培養し、その後細胞生存率を測定した、3人の健常被験体に由来する、末梢血単核細胞(PBMC)を示す。
図16Aは、OPM1細胞を、0時間、12時間、及び24時間のいずれかの時間免疫複合体で処理し、PI染色により細胞周期プロファイルを分析した、細胞周期分析を示す。
図16Bでは、OPM1細胞を、免疫複合体の存在下及び非存在下のいずれかにおいて、24時間、48時間、及び72時間のいずれかの時間培養した。アポトーシス性細胞の百分率を、Apo2.7抗体染色及びフローサイトメトリー分析により評価した。
図16Cでは、OPM1細胞を885μg/mLのnBT062−SPDB−DM4の存在下で指定の時間培養した(左のパネル)、或いは様々な濃度の免疫複合体と共に培養した(中央のパネル)。パン−カスパーゼ阻害剤zVAD−fmkは、OPM1細胞において、nBT062−SPDB−DM4の、カスパーゼ−8、カスパーゼ−9、カスパーゼ−3、及びポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)による切断誘導を阻害した(右のパネル)。
図17Aは、IL−6の、MM細胞の増殖及び免疫複合体に対する感受性に対する効果を示す。
図17Bは、IGF−1の、MM細胞の増殖及び免疫複合体に対する感受性に対する効果を示す。
図17Cは、BMSCの、MM細胞の増殖及び免疫複合体に対する感受性に対する効果を示す。
図17Dは、免疫複合体の代わりにデキサメタゾンを用いた実験を示す。
図17Eは、免疫複合体の存在下及び非存在下のいずれかにおいて、腫瘍細胞とBMSCとを共培養した、細胞接着実験の結果を示す。
図18Aは、OPM1GFP細胞によるGFP発現の分析を示す。
図18Bは、nBT062−SPDB−DM4、nBT062−SPP−DM1、及びバッファー対照のいずれかの、5×106個のOPM1GFP細胞を注入したSCID群の腫瘍の大きさに対する効果を示す。
図18Cでは、nBT062−SPDB−DM4は、ビヒクルのみで処理した対照群(実線、生理食塩水、n=5)に比べて、有意に生存率を上昇させた(P<0.0023、点線、n=5)。
図18Dは、nBT062−SPDB−DM4がインビボでアポトーシスを誘導することを示す。] 図1 図10 図11A 図11B 図12 図13 図14A 図14B 図15A 図15B
[0062] 本発明は、CD138標的剤を含む免疫複合体、及び該免疫複合体のエフェクタ分子(1及び複数のいずれか)の標的部位への送達と、標的細胞、標的組織、及び標的器官とそれらの近傍とのいずれかにおけるエフェクタ分子(1及び複数のいずれか)の部位特異的放出とに関する。エフェクタ分子は、標的細胞において免疫複合体の標的剤部分から、切断/解離されることにより活性化され得る。本発明は、具体的には、インビボにおける腫瘍増殖の治療におけるこれらの免疫複合体の使用と、これらの免疫複合体が、骨髄微小環境において遭遇する防御機構を克服する或いは低減する能力の使用とに関する。]
[0063] 本発明に係る免疫複合体は、治療を必要とする被験体に投与してもよく、治療を必要とする被験体から単離した細胞に投与してもよい。エフェクタ分子(1及び複数のいずれか)は、標的細胞、標的組織、及び標的器官とそれらの近傍で切断/解離されて免疫複合体から放出される。]
[0064] 1例では、前記免疫複合体は、CD138発現細胞を標的とする抗体nBT062と、エフェクタ分子として少なくとも1種の高い細胞傷害性を有する薬物及び毒素のいずれかと、を含み、癌患者に投与される。この例では、治療有効量の免疫複合体を、患者に静脈内投与し、該免疫複合体を癌細胞に濃縮させる。次いで、生体が本来有する手段によりエフェクタ分子(1及び複数のいずれか)を抗体から放出させる。切断後及び切断中のいずれかに、エフェクタ分子をアルキル化して安定化させてもよく、CD138を発現しない間質細胞等の周辺の補助細胞に拡散させてもよい。]
[0065] 第2の例では、前記免疫複合体は、CD138発現細胞を標的とする抗体nBT062と、エフェクタ分子として少なくとも1種の高い細胞傷害性を有する薬物及び毒素のいずれかと、追加的な細胞傷害性剤と、を含み、癌患者に投与される。この例では、治療有効量の免疫複合体及び細胞傷害性剤は、連続して投与される。先ず、免疫複合体を患者に静脈内投与し、該免疫複合体を骨髄微小環境の癌細胞に濃縮させる。免疫複合体は実質的に細胞接着媒介性薬剤耐性(CAM−DR)を克服し、骨髄微小環境におけるCD138発現腫瘍細胞のかなりの部分を破壊する。具体的には、エフェクタ分子(1及び複数のいずれか)が、生体が本来有する手段により抗体から放出され、腫瘍細胞を破壊する。免疫複合体は、少なくとも部分的に、腫瘍細胞の間質細胞への接着を妨げ、その一部はエフェクタ分子の拡散により破壊され得る。12時間の時間間隔後、細胞傷害性剤を投与する。活性がCAM−DRにより通常少なくとも低下する細胞傷害性剤は、間質細胞に会合していない腫瘍細胞上で作用し、免疫複合体による作用を免れたCD138発現腫瘍細胞を破壊することができる。]
[0066] CD138、即ちシンデカン−1(SYND1、SYNDECAN、SDC、SCD1、CD138抗原としても記載される、SwissProtアクセッション番号:P18827 human)は、元来上皮起源の細胞上に存在すると記載されており、後に造血細胞で見出された(Sanderson,1989)膜糖タンパク質である。CD138は、ヘパラン硫酸鎖を通して、可溶性分子(例えば、増殖因子EGF、FGF、HGF)、及び不溶性分子(例えば、細胞外マトリックス成分であるコラーゲン及びフィブロネクチン)に結合する、長い細胞外ドメインを有し(Langford,1998;Yang,2007)、細胞外マトリックスの受容体として作用する。CD138はまた、接着性細胞が発現するヘパリン結合分子を通して細胞間接着を媒介する。CD138は骨髄腫細胞の増殖因子の共受容体としての役割を有することが示されている(Bisping,2006)。形質細胞の分化に関する研究で、CD138を分化抗原としても考えなければならないことが示された(Bataille,2006)。]
[0067] 悪性造血では、CD138は、MM細胞、卵巣癌腫細胞、腎臓癌腫細胞、胆嚢癌腫細胞、乳癌腫細胞、前立腺癌細胞、肺癌細胞、結腸癌腫細胞、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫の細胞、慢性リンパ球性白血病(CLL)の細胞(Horvathova,1995)、急性リンパ球性白血病(ALL)の細胞、急性骨髄芽球性白血病(AML)の細胞(Seftalioglu,2003(a);Seftalioglu,2003(b))、固形組織肉腫細胞、結腸癌腫細胞、その他の造血器悪性腫瘍細胞、及びCD138を発現する固形腫瘍細胞(Carbone et al.,1999;Sebestyen et al.,1999;Han et al.,2004;Charnaux et al.,2004;O’Connell et al.,2004;Orosz and Kopper,2001)の大部分で高度に発現する。]
[0068] CD138発現陽性であることが示されているその他の癌は、多くの卵巣腺癌、移行性細胞膀胱癌腫、腎臓明細胞癌腫、扁平上皮細胞肺癌腫;乳癌腫、及び子宮癌(例えば、Davies et al.,2004;Barbareschi et al.,2003;Mennerich et al.,2004;Anttonen et al.,2001;Wijdenes,2002を参照)である。]
[0069] 正常なヒト造血コンパートメントでは、CD138発現は形質細胞に限定されており(Wijdenes,1996;Chilosi,1999)、CD138は、末梢血リンパ球、単球、顆粒球、及び赤血球では発現しない。特に、CD34+幹細胞及びCD34+前駆細胞は、CD138を発現せず、抗CD138 mAbは、造血幹細胞培養におけるコロニー形成単位の数に影響を与えない(Wijdenes,1996)。非造血コンパートメントでは、CD138は、肺、肝臓、皮膚、腎臓、及び腸内の単純及び重層化上皮上で主に発現する。内皮細胞上では僅かな染色しか見られなかった(Bernfield,1992;Vooijs,1996)。CD138は、ヒトリンパ腫細胞において多様な形で存在することが報告されている(Gattei,1999)。]
[0070] モノクローナル抗体B−B4、BC/B−B4、B−B2、DL−101、1 D4、MI15、1.BB.210、2Q1484、5F7、104−9、281−2、特にB−B4は、CD138に対して特異的であることが報告されている。これらのうちB−B4、1D4、及びMI15は、CD138のインタクトな分子とコアタンパク質の両方を認識し、同一或いは密接に関連するエピトープ、を認識することが示された(Gattei,1999)。これまでの研究では、B−B4は可溶性CD138を認識せず、膜に結合した形のCD138のみを認識することが報告されている(Wijdenes,2002)。]
[0071] B−B4(マウスIgG1 mAb)は、ヒトシンデカン−1(CD138)上のコアタンパク質の残基90〜95の線状エピトープに結合する(Wijdenes,1996;Dore,1998)。CD138の発現パターンに一致して、B−B4は、形質細胞株RPMI8226に強く反応するが、内皮細胞には反応しないことが示された。またCD138の発現パターンに一致して、B−B4はまた、上皮細胞株A431(ケラチノサイト由来)及びHepG2(肝細胞由来)と反応した。免疫毒素B−B4−サポリンはまた、形質細胞株RPMI8226に対する毒性が強く、実際に遊離サポリンより遥かに毒性が強かった。しかしながら、試験した2種の上皮細胞株から、B−B4−サポリンは、細胞株A431に対してのみ毒性を示したが、クローン原性アッセイでは、B−B4サポリンは、A431細胞の増殖に対して阻害効果を示さなかった(Vooijs,1996)。他の研究者が、MM−関連抗原が腫瘍に対して特異性を有しないことを報告した(Couturier,1999)。]
[0072] ある成分から「本質的に成る」抗体/免疫複合体は、本発明の状況では、該抗体/免疫複合体が、特定の成分と、抗体の基本的特徴に実質的に影響を与えない任意の追加的な物質及び成分のいずれかから成ることを意味する。]
[0073] 本発明において使用される用語「腫瘍細胞」は、固形腫瘍の一部を形成してもしなくてもよい癌細胞及び前癌性細胞を含む。]
[0074] 本発明に係る「標的剤」は、標的細胞により発現される分子に結合することができ、ペプチド及び非ペプチドを含む。具体的には、本発明に係る標的剤としては、標的抗体、及び非免疫グロブリン標的分子が挙げられる。これらの分子は、AFFILIN(登録商標)分子、ANTICALINS(登録商標)、及びAFFIBODIES(登録商標)などの非免疫グロブリンタンパク質に基づいたものであってもよいが、非免疫グロブリンタンパク質はこれらに限定されない。非免疫グロブリン標的分子はまた、標的DNA及びRNAオリゴヌクレオチド(アプタマー)等の非ペプチド標的分子も含むが、生理学的リガンド、特にCD138等の、対象とする抗原のリガンドも含む。]
[0075] 本発明に係る「標的抗体」は、天然の抗体であるか、天然の抗体に基づく抗体であるか、合成的或いは遺伝子工学的に産生され、対象細胞(1及び複数のいずれか)(標的細胞(1及び複数のいずれか))上の抗原に結合する。本発明に係る標的抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片が挙げられる。標的抗体は、例えば、その標的細胞に対する親和性を改善する(Ross,2003)、或いはその免疫原性を低下させるように改変してもよい。標的抗体は、エフェクタ分子を含むリポソーム製剤に結合することができる(Carter,2003)。抗体断片は、インタクトな抗体の一部、好ましくはインタクトな抗体の抗原結合領域及び可変領域のいずれかを含む。本発明に係る抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片が挙げられるが、二重特異性抗体;ドメイン抗体(dAb)(Ward,1989;米国特許第6,005,079号明細書);線状抗体;単鎖抗体分子;及び抗体断片から形成される多重特異性抗体も含む。単鎖可変断片抗体(scFv)では、重鎖及び軽鎖(VH及びVL)は、例えば、配列(グリシン4セリン)nを有する短いアミノ酸リンカーにより結合することができ、このリンカーは、2つのドメインが機能的抗原結合ポケットを構築することを可能にするのに十分な柔軟性を有する。種々のシグナル配列の付加により、標的抗体のより正確なターゲティングが可能になる場合がある。軽鎖定常領域(CL)の付加により、ジスルフィド結合を介した二量体化が可能になる場合があり、これによって安定性及び結合力が増す。scFvを構築するための可変領域は、対象とする標的に対するmAbが利用可能である場合、親ハイブリドーマから抽出されたmRNAの可変領域をクローン化するRT−PCRにより得ることができる。或いは、scFvは、ファージディスプレイ技術により新たに作製することができる(Smith,2001)。本明細書で使用する用語「機能的断片」は、標的抗体について用いられる場合、該標的抗体の一部分であって、該抗体が特異的に結合する抗原に特異的に結合することができる一部分を意味することを意図する。本発明の二重特異性抗体は、例えば、標的組織に対して反応性を有する少なくとも1本の腕と、リンカー部分に対して反応性を有する1本の腕を有することができる(米国特許出願公開第2002/0006379号明細書)。本発明の二重特異性抗体はまた、標的細胞上の2種以上の抗原に結合することができる(Carter,2003)。本発明の抗体は、例えば、チオール基を導入するために、システイン残基を導入することにより修飾してもよい(Olafsen,2004)。]
[0076] 本発明に従って、標的抗体はいずれの源に由来してもよく、ラクダ抗体、マウス抗体、キメラヒト/マウス抗体、及びキメラヒト/サル抗体、特にnBT062のようなキメラヒト/マウス抗体のいずれであってもよいが、これらに限定されない。]
[0077] ヒト化抗体は、ヒト抗体及び非ヒト抗体に由来する配列を含む抗体であり、これもまた本発明の範囲内である。抗体をヒト化するのに好適な方法としては、CDRグラフティング(相補性決定領域グラフティング)(欧州特許第0 239 400号明細書;国際公開第91/09967号;米国特許第5,530,101号明細書;及び米国特許第5,585,089号明細書)、ベニアリング(veneering)及び再表面化(resurfacing)(欧州特許第0 592 106号明細書;欧州特許第0 519 596号明細書;Padlan,199;Studnicka et al.,1994;Roguska et al.,1994)、鎖シャフリング(米国特許第5,565,332号明細書)のいずれか、並びにDeImmunosation(商標)(Biovation,LTD)が挙げられる。CDRグラフティングでは、例えば、mAb B−B4由来のマウス相補性決定領域(CDR)を、ヒト可変フレームワークにグラフトし、次いでこれをヒト定常領域に結合させて、ヒトB−B4抗体(hB−B4)を作り出す。MYLOTARG(Sievers et al.,2001)、及びHECEPTIN(Pegram et al,1998)を含む、CDRグラフティングによりヒト化された幾つかの抗体が、現在臨床使用されている。]
[0078] 再表面化技術は、分子モデリング、統計解析、及び突然変異誘発の組み合わせを用いて、標的とするホストの既知の抗体の表面に類似するように、抗体可変領域の非CDR表面を変化させる。抗体を再表面化するためのストラテジー及び方法、並びに異なるホスト内で抗体の免疫原性を低下させるための他の方法は、例えば、米国特許第5,639,641号明細書に開示されている。ヒト抗体は、ファージディスプレイ法を含む、当該技術分野において既知である種々の方法により作製することができる。また、米国特許第4,444,887号、同第4,716,111号明細書、同第5,545,806号明細書、及び同第5,814,318号明細書;並びに国際公開第98/46645号、同第98/50433号、同第98/24893号、同第98/16654号、同第96/34096号、同第96/33735号、及び同第91/10741号を参照。]
[0079] キメラヒト/マウス抗体或いはキメラヒト/サル抗体など、何らかの非天然修飾が施されている標的抗体、例えば、その標的細胞に対する親和性を改善する、或いはその免疫原性を低下させるよう改変されたヒト化抗体(1及び複数のいずれか)、また抗体断片、特に何らかの非天然修飾が施されている該標的抗体の機能的断片、ダイアボディ、ドメイン抗体、線状抗体、単鎖抗体分子、及び多重特異性抗体を、本明細書においては、改変された標的抗体と称する。]
[0080] キメラ抗体は、その基となる非ヒト抗体、例えばマウス抗体の抗体結合領域(ABR及びFab領域のいずれか)を保持しているが、定常領域は、例えばヒト抗体のものであってもよい。一般に、抗体のキメラ化及び抗体の定常領域の交換の少なくともいずれかは、抗原結合に寄与する抗体の領域がこの交換により影響を受けないため、抗体の親和性に影響を与えない。本発明の好ましい実施形態では、改変された、特にキメラ化された本発明の抗体は、その基となるそれぞれの非ヒト抗体よりも高い結合親和性(KD値により表される)を有することができる。特に、マウスB−B4に基づくnBT062抗体(1及び複数のいずれか)は、マウスB−B4よりも高い抗体親和性を有することができる。本発明の他の好ましい実施形態においては、改変された/キメラ化された抗体を含む免疫複合体もまた、このような高い抗体親和性を示す。これらの免疫複合体はまた、ある実施形態では、そのB−B4を含む相当物より腫瘍の減少量が多い等の、更なる有利な特性を示す場合がある。好ましい実施形態においては、改変された、特にキメラ化された標的抗体は、1.6未満、1.5未満、約1.4或いは1.4未満の解離定数KD(nM)によって特徴付けられる結合親和性を示し、一方そのマウス相当物は、約1.6及び1.6超のいずれか解離定数KD(nM)によって特徴付けられる。2.6未満、2.5未満、2.4未満、2.3未満、2.2未満、2.1未満、2.0未満、1.9未満、及び約1.9のいずれかの解離定数KD(nM)によって特徴付けられる、標的抗体のような標的剤を含む免疫複合体が好ましいが、マウスの相当物抗体を含む免疫複合体は、約2.6、及び2.6超のいずれかの解離定数KD(nM)によって特徴付けられる(表3、材料及び方法と比較)。]
[0081] 完全ヒト抗体を用いてもよい。これらの抗体は、ファージディスプレイアプローチにより選択することができ、この場合CD138及びその抗原決定基のいずれかが用いられて、例えばB−B4可変領域を発現しているファージに選択的に結合する(Krebs,2001を参照)。このアプローチを、親和性成熟技術と組み合わせることは有利であり、これにより抗体の親和性が向上する。本明細書で抗体と称されるものは全て、単離された抗体である。]
[0082] 1つの実施形態では、標的抗体は、コンジュゲートされていない形態であり、中程度に内在化される、或いは内在化が不十分である。中程度の内在化は、37℃で3時間インキュベートした後の抗体の内在化の約30%〜約75%に相当し、不十分な内在化は、約0.01%〜約30%に相当する。他の好ましい実施形態では、標的抗体は、CD138、例えば、抗体B−B4、BC/B−B4、B−B2、DL−101、1 D4、MI15、1.BB.210、2Q1484、5F7、104−9、281−2、特にB−B4に結合する。ハイブリドーマ細胞(SP02/0骨髄腫細胞をBalb/cマウスの脾臓細胞とハイブリダイズさせることにより作製した)は、2007年12月11日に、DSMZ−Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(Mascheroder Weg 1,D−38124 Braunschweig)に寄託されている。これらのB−B4発現ハイブリドーマ細胞の識別番号は、DSMACC2874である。別の実施形態では、標的抗体は、細胞表面に発現していないCD138に実質的に結合しない。本発明の状況では、「nBT062標的抗体」のように、特定の抗体の名称を用語「標的抗体」と組み合わせたとき、これは、この標的抗体が抗体nBT062の結合特異性を有することを意味する。標的抗体が、特定の抗体に「基づく」と言われる場合、これは、この標的抗体がこの抗体の結合特異性を有するが、標的抗体の上記記載に一致するいずれの形態をとってもよいことを意味する。本発明の状況では、「CD138標的抗体」のように、特定の抗原の名称を用語「標的抗体」と組み合わせたとき、これは、この標的抗体がCD138に対する結合特異性を有することを意味する。本発明の状況では、標的抗体が、「細胞表面で発現するCD138を選択的に標的とする」のように、「選択的に」何かをする、或いは何かに対して「選択的」であると言うとき、これは、与えられた例の場合、他のいずれかの抗原と比べて、細胞表面に発現するCD138に対して有意な選択性が存在する(即ち、CD138陰性細胞に比べて、CD138陽性細胞に対する親和性が高い)ことを意味する。所定の環境における有害な副作用は、この選択性によって実質的に低減されるか、或いは回避されることさえもある。]
[0083] 本発明に係る「非免疫グロブリン標的分子」は、非免疫グロブリンタンパク質、及び非ペプチド性標的分子に由来する標的分子を含む。この定義に含まれる小さな非免疫グロブリンタンパク質は、特に表面に発現するCD138に対して特異的親和性を有するよう設計される。これらの小さな非免疫グロブリンタンパク質としては、10kDa〜20kDa等の比較的低分子量のAffilin(登録商標)分子等の、スカフォールドに基づく改変された分子を含む。適切なスカフォールドとしては、例えば、ガンマクリスタリンが挙げられる。これらの分子は、天然の状態では、標的分子に対する非特異的結合活性を有する。溶媒に曝露されたアミノ酸の局所的に定義されたランダム化を通して、タンパク質表面を改変することにより、全く新しい結合部位が作り出される。前者の非結合タンパク質は、それによって特異的結合タンパク質に変換される。このような分子は、CD138等の標的に結合し、1種以上のエフェクタ分子の特異的送達を可能にするよう、特別に設計することができる(www.scilproteins.comにおけるscil Proteins GmbH,2004を参照)。別の種類の非免疫グロブリン標的分子は、リポカリンに由来し、例えば、若干免疫グロブリンの構造に類似している、ANTICALINS(登録商標)が挙げられる。しかしながら、リポカリンは、160〜180アミノ酸残基を有する単一ポリペプチドから構成されている。リポカリンの結合ポケットは、高親和性及び特異性により対象分子を認識するよう再形成することができる(例えば、Beste et al.,1999を参照)。商標Affibody(登録商標)(Affibody AB)として市販されているもの等の、人工細菌受容体もまた、本発明の範囲内である。これらの人工細菌受容体は、小さく単純なタンパク質であり、プロテインAのIgG結合ドメインのうち1つのスカフォールドに基づいた、3つのヘリックスバンドルから構成されていてもよい(Staphylococcus aureus)。これらの分子は、多くの免疫グロブリンに類似の結合特性を有するが、実質的に小さく(10kDaを超えない分子量を有することが多い)、また比較的安定である。好適な人工細胞受容体分子は、例えば、米国特許第5,831,012号明細書、同第6,534,628号明細書、及び同第6,740,734号明細書に記載されている。]
[0084] 他の「非免疫グロブリン標的分子」は、対象とする抗原の生理学的リガンドである。CD138の生理学的リガンドとしては、例えば、ADAMTS4(アグリカナーゼ−1)、抗トロンビン−3、bFGF、カテプシンG、CCL5(RANTES)、CCL7、CCL11、CCL17、CD44、コラーゲン(1型コラーゲン、2型コラーゲン、3型コラーゲン、4型コラーゲン、5型コラーゲン、6型コラーゲン)、CXCL1、エラスターゼ、gp120、HGF[肝細胞増殖因子]、ラミニン−1、ラミニン−2、ラミニン−5、ミッドカイン、MMP−7、好中球エラスターゼ、及びプレイオトロフィン(HBNF、HBGF−8)が挙げられるが、これらに限定されない。非ペプチド標的分子としては、CD138(アプタマー)に結合する、DNA及びRNAオリゴヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。]
[0085] 本発明に係る「エフェクタ分子」は、標的剤、特に標的抗体及び改変された標的抗体の少なくともいずれかに結合し、例えば、標的細胞(1及び複数のいずれか)にアポトーシス、別の種類のいずれかの細胞死及び連続細胞周期停止のいずれか等の所望の効果を及ぼす分子及び誘導体のいずれか、並びにその類似体のいずれかである。本発明に係るエフェクタ分子は、標的細胞に所望の効果を及ぼすことができる分子を含み、毒素、薬物、特に低分子量細胞傷害性薬物、放射性核種、生物反応調節剤、ポア形成剤、リボヌクレアーゼ、アポトーシス誘導活性を有するアポトーシス性シグナル伝達カスケードのタンパク質、細胞傷害性酵素、プロドラッグ活性化酵素、アンチセンスオリゴヌクレオチド、抗体及びサイトカインのいずれか、並びにその機能的誘導体と、類似体/断片との少なくともいずれかが挙げられるが、これらに限定されない。毒素は、ジフテリア毒素及び外毒素Aのいずれか等であるがこれらに限定されない細菌毒素、リシン等であるがこれらに限定されない植物毒素を含んでいてもよい。アポトーシス誘導活性を有するアポトーシス性シグナル伝達カスケードのタンパク質としては、グランザイムB、グランザイムA、カスパーゼ−3、カスパーゼ−7、カスパーゼ−8、カスパーゼ−9、切頭型Bid(tBid)、Bax、及びBakが挙げられるが、これらに限定されない。]
[0086] 好ましい実施形態では、エフェクタは、特に免疫複合体の標的抗体の基となる抗体の天然型の内在化能が不十分であるとき、免疫複合体の内部エフェクタ送達を増加させる。別の好ましい実施形態では、エフェクタは、その天然型では非選択的である。ある実施形態では、エフェクタは、天然型であるとき、全身毒性を含む、高い非選択的毒性を有する。本発明のエフェクタ分子の「天然型」は、標的剤に結合して、免疫複合体を形成する前のエフェクタ分子である。別の好ましい実施形態では、エフェクタ分子の非選択的毒性は、標的剤に複合体化すると実質的になくなる。別の好ましい実施形態では、エフェクタ分子は、標的細胞に到達したとき、標的細胞において死及び連続細胞周期停止のいずれかを引き起こす。本発明に係る薬物−エフェクタ分子としては、例えば、マイタンシノイド、ドラスタチン、アウリスタチン、及びクリトフィシン等のチューブリン重合の阻害剤として作用する、高い細胞傷害性を有する小さい薬物;CC−1065類似体及び誘導体のいずれか、及びデュオカルマイシン等のDNAアルキル化剤(米国特許第5,475,092号明細書;同第5,585,499号明細書;同第6,716,821号明細書);カリチアマイシン及びエスペラミシン等のエイジイン抗生物質;並びに強力なタキソイド(タキサン)薬物(Payne,2003)、を含む薬物が挙げられるが、これらに限定されない。マイタンシノイド及びカリチアマイシンが特に好ましい。エフェクタマイタンシノイドとしては、合成マイタンシノール、並びにマイタンシノール類似体及び誘導体が挙げられるが、これらに限定されない、任意の起源のマイタンシノイドが挙げられる。ドキソルビシン、ダウノマイシン、メトトレキサート、ビンブラスチン、ネオカルチノスタチン、マクロマイシン、トレニモン、及びα−アマニチンは、本発明の範囲内の幾つかの他のエフェクタ分子である。また、エフェクタ分子としてのアンチセンスDNA分子も本発明の範囲内である。例えば、特定の薬物及び薬物のクラスのいずれかの名称を、本明細書で用語「エフェクタ」及び「エフェクタ分子」のいずれかと組み合わせるとき、その特定の薬物及び薬物のクラスのいずれかに基づく本発明に係る免疫複合体のエフェクタに言及する。]
[0087] マイタンシンは、元々エチオピアの灌木であるMaytenus serrataに由来する天然物である(Remillard,1975;米国特許第3,896,111号明細書)。この薬物は、チューブリン重合を阻害し、その結果有糸分裂の遮断、及び細胞死が生じる(Remillard,1975;Bhattacharyya,1977;Kupchan,1978)。マイタンシンの細胞傷害性は、ビンカアルカノイド及びタキソールのいずれか等の、チューブリン重合に影響を与える、臨床的に用いられている抗癌剤より200〜1000倍高い。しかしながら、マイタンシンの臨床試験により、その高い全身毒性のために治療域を欠くことが示された。マイタンシン及びマイタンシノイドは、細胞傷害性は高いが、それを癌治療において臨床的に使用することは、主に腫瘍に対する選択性が不十分であることに起因する、重篤な全身性副作用により非常に限定されている。マイタンシンを用いた臨床試験は、中枢神経系及び消化器系に重大な副作用を示した。]
[0088] マイタンシノイドは、Trewia nudifloraの種子組織を含む、他の植物からも単離されている(米国特許第4,418,064号明細書)。]
[0089] ある微生物もまた、マイタンシノール、及びC−3マイタンシノールエステルのような、マイタンシノイドを産生する(米国特許第4,151,042号明細書)。]
[0090] 本発明は、例えば、米国特許第4,137,230号明細書;同第4,248,870号明細書;同第4,256,746号明細書;同第4,260,608号明細書;同第4,265,814号明細書;同第4,294,757号明細書;同第4,307,016号明細書;同第4,308,268号明細書;同第4,308,269号明細書;同第4,309,428号明細書;同第4,313,946号明細書;同第4,315,929号明細書;同第4,317,821号明細書;同第4,322,348号明細書;同第4,331,598号明細書;同第4,361,650号明細書;同第4,362,663号明細書;同第4,364,866号明細書;同第4,371,533号明細書;同第4,424,219号明細書、及び同第4,151,042号明細書に開示されている、合成マイタンシノール及びマイタンシノール類似体を含む、任意の起源のマイタンシノイドに関する。]
[0091] 好ましい実施形態では、マイタンシノイドは、チオールを含有するマイタンシノイドであり、より好ましくは米国特許第6,333,410号明細書(Chariら)及びChari et al.(Chari,1992)のいずれかに開示されているプロセスに従って製造される。]
[0092] DM−1(N2−デアセチル−N2−(3−メルカプト−1−オキソプロピル)−マイタンシン)は、本発明の状況において好ましいエフェクタ分子である。DM1は、マイタンシンの3倍〜10倍細胞傷害性が高く、腫瘍関連抗原に対するモノクローナル抗体へ、ジスルフィド結合(1及び複数のいずれか)を介して、結合することにより、プロドラックに変換されている。あるこれらの複合体(時に「腫瘍活性化プロドラッグ」(TAP)と呼ばれる)は、血液コンパートメントにおいて細胞傷害性ではない。その理由は、それらは標的細胞に結合して活性化され、内在化し、それにより薬物を放出するためである(Blaettler,2001)。幾つかの抗体−DM1複合体が開発されており(Payne,2003)、臨床試験で評価されている。例えば、結腸直腸癌患者のhuC242−DM1治療は、耐容性良好であり、検出可能な免疫反応を全く誘導せず、循環時間が長かった(Tolcher,2003)。]
[0093] マイタンシノイドN2’−デアセチル−N2’−(4−メルカプト−1−オキソペンチル)−マイタンシン(「DM3」とも呼ばれる)、及びN2’−デアセチル−N2’−(4−メチル−4−メルカプト−1−オキソペンチル)−マイタンシン(「DM4」とも呼ばれる)等であるが、これらに限定されない、他の特に好ましいマイタンシノイドは、立体障害のあるチオール結合を含む側鎖を含む。DM4の合成を図3及び図4に示し、本明細書の他の箇所に記載する。DM4は、そのαCにメチル基を有する点でDM1及びDM3とは異なる。これにより、DM4が、リンカー、具体的にはこれに限定されないがジスルフィド結合を含むリンガーを介して、nBT062のような標的剤に結合するとき、立体障害が生じる。立体障害のあるチオール基を有する広範なマイタンシノイド(1つ及び2つのいずれかの置換基、具体的には、DM4のメチル置換基のような、アルキル置換基を有する)が、2004年11月25日公開の米国特許出願公開第2004/0235840号明細書に開示されており、この全体を参照することにより本願に援用する。DM3及びDM4の硫黄原子に隣接する炭素上の、メチル基等のアルキル基によってもたらされる立体障害は、免疫複合体の細胞内切断の速度に影響を与える場合がある。よって、可変アルキル単位は、インビトロ及びインビボにおける効力、有効性、及び安全性/毒性に影響を与える場合がある。] 図3 図4
[0094] 米国特許出願公開第2006/0233814号明細書で、Goldmahkerらにより報告されているように、いったん薬物がその標的で放出されると、このような障害は遊離薬物のアルキル化(例えば、メチル化)を誘導する。アルキル化は、薬物の安定性を増し、いわゆるバイスタンダー(bystander)効果を可能にすることができる。しかしながら、当業者が認識しているように、エフェクタがリンカーを介して標的剤に結合するとき、立体障害が生じる位置にアルキル基等の置換基を含む他のエフェクタ分子も、本発明の一部である(米国特許出願公開第2004/0235840号明細書)。好ましくは、この障害は、遊離薬物のアルキル化等の化学修飾を誘導して、その全体の安定性を高め、これによって薬物が、CD138発現腫瘍細胞における細胞死及び連続細胞周期停止のいずれかを誘導するだけでなく、任意的に、例えば腫瘍、具体的には腫瘍間質及び腫瘍脈管構造の細胞を支持し或いは薬物から保護し、一般にCD138を発現しない補助細胞に影響を与え、その支持機能及び保護機能のいずれかを低下させるか、或いは失わせることも可能にする。]
[0095] DNAアルキル化剤はまた、エフェクタ分子として特に好ましく、CC−1065類似体及び誘導体のいずれかが挙げられるが、これらに限定されない。CC−1065は、Streptomyces zelensisの培養物から単離された強力な抗腫瘍抗生物質であり、インビトロで極めて細胞傷害性が高いことが示されている(米国特許第4,169,888号明細書)。例えば、米国特許第5,475,092号明細書、同第5,585,499号明細書、及び同第5,739,350号に記載されているCC−1065類似体及び誘導体のいずれかも、本発明の範囲内である。当業者であれば容易に理解されるように、米国特許第5,846,545号明細書に記載されているような修飾されたCC−1065類似体及び誘導体のいずれか、並びに例えば米国特許第6,756,397号明細書に記載されているようなCC−1065類似体及び誘導体のいずれかのプロドラッグも、本発明の範囲内である。本発明のある実施形態では、CC−1065類似体及び誘導体のいずれかは、例えば、米国特許第6,534,660号明細書に記載されているように合成することができる。]
[0096] 好ましいエフェクタ分子を作製する化合物の別の群は、特に非常に強力で、チオール及びジスルフィド基のいずれかを含むタキサンである。タキサンは、チューブリンの脱重合を阻害する紡錘体毒であり、結果として微小管の組み立て及び細胞死の速度を上昇させる。本発明の範囲内であるタキサンは、例えば、米国特許第6,436,931号明細書、同第6,340,701号明細書、同第6,706,708号明細書、並びに米国特許出願公開第2004/0087649号明細書、同第2004/0024049号明細書、及び同第2003/0004210号明細書に開示されている。他のタキサンは、例えば、米国特許第6,002,023号明細書、米国特許第5,998,656号明細書、米国特許第5,892,063号明細書、米国特許第5,763,477号明細書、米国特許第5,705,508号明細書、米国特許第5,703,247号明細書、及び米国特許第5,367,086号明細書に開示されている。当業者であれば、米国特許第6,596,757号明細書に記載されているもの等の、PEG化タキサンもまた本発明の範囲内であることが理解されよう。]
[0097] 本発明に係るカリチアマイシンエフェクタ分子としては、ガンマ1l、N−アセチルカリチアマイシン、及び他のカリチアマイシン誘導体が挙げられる。カリチアマイシンは、配列特異的な方式で、DNAの副溝に結合し、再編成され、フリーラジカルに曝されるため、二本鎖DNAの破壊を導き、細胞のアポトーシス及び細胞死をもたらす。本発明の状況で用いることができるカリチアマイシンエフェクタ分子の1例は、米国特許第5,053,394号明細書に記載されている。]
[0098] 本発明に係る免疫複合体は、少なくとも1種の標的剤、特に標的抗体と、1種のエフェクタ分子とを含む。免疫複合体は、例えば安定化のために更に分子を含んでいてもよい。免疫複合体について、用語「複合体」は、一般に、標的剤と1以上のエフェクタ分子との機能的結合を定義するために用いられ、機能的結合のいずれかの種類のみを指すことを意図せず、特に化学的「複合体化」に限定されるものではない。標的剤が標的部位に結合することができ、結合したエフェクタが、特に標的部位に送達されたときに、意図した通りに十分に機能する限り、どのような結合様式も好適である。本発明に係る複合体化法としては、エフェクタ分子、及び標的抗体の少なくともいずれかを予め修飾して、或いは修飾せずに、標的抗体にエフェクタ分子を直接結合させること、及びリンカーを介して結合させることのいずれかが挙げられるが、これらに限定されない。リンカーは、例えば、酸に不安定なリンカー、感光性リンカー、ペプチダーゼにより切断できるリンカー等の酵素で切断可能なリンカーに、機能的に分類することができる。切断可能なリンカーが、本発明の多くの実施形態で好ましい。このような切断可能なリンカーは、細胞環境、特に細胞内環境に存在し、切断時に放出される薬物に対して有害な作用を有しない条件下で切断され得る。リンカーが細胞内のある部分に存在するとき、pH4〜5のような低pHによって、酸に不安定なリンカーが切断され、一方感光性リンカーは、例えば赤外光により切断され得る。しかしながら、大部分の細胞内に存在する生理学的条件により/生理学的条件下で切断されるリンカーが好ましく、本明細書では生理学的に切断可能なリンカーと称する。従って、ジスルフィドリンカーが、本発明の多くの実施形態で好ましい。これらのリンカーは、ジスルフィド交換を通して切断可能であり、これは生理学的条件下で生じ得る。好ましいヘテロ二官能性ジスルフィドリンカーとしては、N−スクシニミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)(例えば、Carlsson et al.(1978)を参照)、N−スクシニミジル4−(2−ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB)(例えば、米国特許第4,563,304号明細書を参照)、N−スクシニミジル4−(2−ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP)(例えば、CAS登録番号341498−08−6)、N−スクシニミジル4−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)(例えば、Yoshitake et al.,(1979)を参照)、及びN−スクシニミジル4−メチル−4−[2−(5−ニトロ−ピリジル)−ジチオ]ペンタノエート(SMNP)(例えば、米国特許第4,563,304号明細書を参照)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物で使用するのに最も好ましいリンカー分子は、SPP、SMCC、及びSPDBである。]
[0099] 他の好適なリンカーとしては、スルホスクシニミジルマレイミドメチルシクロヘキサンカルボキシレート(SMCC)(これは化合物をSH−含有化合物と結合することができるヘテロ二官能性リンカーである)等であるが、これらに限定されない「切断不可能な」結合を含んでいてもよい。S−(2−チオピリジル)−L−システインヒドラジド(TPCH)等の、炭水化物指向性ヘテロ二官能性リンカー分子等の、二官能性及びヘテロ二官能性リンカー分子もまた、本発明の範囲内である(Vogel,2004)。マイタンシノイドのようなエフェクタ分子は、2段階反応プロセスを介して標的抗体と複合体化することができ、第1の工程として、N−スクシニミジルピリジルジチオプロピオネート(SPDP)のような架橋試薬によって、標的抗体を修飾して、標的抗体にジチオピリジル基を導入する工程を含む。第2の工程では、DM1のような、チオール基を有する反応性マイタンシノイドを、修飾された抗体に添加して、修飾された抗体におけるチオピリジル基の置換、及びジスルフィド結合した細胞傷害性マイタンシノイド/抗体複合体の産生を生じさせる(米国特許第5,208,020号明細書)。しかしながら、米国特許出願公開第20030055226号明細書(Chariら)に開示されているもののような1段階複合体化プロセスもまた、本発明の範囲内である。本発明の1つの実施形態では、同一種類及び異なる種類のいずれかの複数のエフェクタ分子が、標的抗体に結合する。本明細書の他の箇所で論じられているように、使用されるリンカーの性質は、バイスタンダーキリングに影響を及ぼす可能性がある(Kovtun et al.,2006)。図13の考察も参照。] 図13
[0100] CC−1065類似体及び誘導体のいずれかは、例えば、米国特許第6,716,821号明細書に記載されているようなPEG結合基を介して、標的剤と複合体化することができる。]
[0101] カリチアマイシンは、リンカー(米国特許第5,877,296号明細書、及び米国特許第5,773,001号明細書)を介して、或いは米国特許第5,712,374号、及び米国特許第5,714,586号明細書に開示されている複合体化方法に従って、標的抗体と複合体化することができる。カリチアマイシン複合体を調製するための別の好ましい方法は、米国特許出願公開第20040082764号明細書に開示されている。本発明の免疫複合体は、組み換え融合タンパク質の形態をとってもよい。]
[0102] 用語「細胞傷害性剤」は、メルファラン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン及びリポソーマルドキソルビシン(DOXIL)、シクロホスファミド、エトポシド、シタラビン、及びシスプラチン等の化学療法剤、プレドニゾン(prendisone)及びデキサメタゾン等の副腎皮質ホルモン、並びにサリドマイド、ボルテゾミブ、レナリドマイド等の薬剤、またソラフェニブ等のキナーゼ阻害剤及びロミデプシン等のHDAC(ヒストンデアセチラーゼ)のいずれか、並びに成長阻害剤、抗ホルモン剤、抗血管新生剤、心保護剤、免疫賦活剤、免疫抑制剤、血管新生阻害剤、タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)阻害剤を含む「細胞傷害性/癌用薬物」を含む。また、本定義には、当該技術分野で認識されている細胞傷害性効果を有する免疫複合体、及び抗体を含む、抗体に基づく細胞傷害性剤も含まれる。抗CD40が、好ましい抗体である。他の抗体としては、例えばアバスチン(ベバシズマブ(bevacizuab))、及びミエロマサイド(ミラツズマブ)のいずれかが挙げられるが、これらに限定されない。]
[0103] サロミド(THALOMID)(α−(N−フタルイミド)グルタルイミド;サリドマイド)は、免疫調節剤である。サリドマイドの実験式はC13H10N2O4であり、グラム分子量は258.2である。サリドマイドのCAS番号は、50−35−1である。それは、種々の方法で骨髄腫細胞の増殖及び生存を阻害する能力、及び新血管の成長を阻害する能力を含む、複数の作用を有すると思われる。]
[0104] ベルケイド(VELCADE)は、多発性骨髄腫を治療するために用いられるプロテアソーム阻害剤である。ベルケイドは、骨髄腫細胞に作用して、細胞死を引き起こすこと、及び骨の微小環境に作用することの少なくともいずれかにより骨髄腫細胞の増殖及び生存を間接的に阻害すると考えられる。特定の理論及び作用機序のいずれかに限定されるものではないが、それによってベルケイドは正常な細胞プロセスを乱し、その結果アポトーシスを促進するプロテアソーム阻害が生じる。]
[0105] レブリミド(REVLIMID)は、免疫調節剤である。レブリミドは、骨髄腫細胞の複数の経路に影響を及ぼし、それによりアポトーシスを誘導する、骨髄腫細胞の増殖を阻害する、血管内皮増殖因子(VEGF)を阻害して、それにより血管新生を阻害する、骨髄腫細胞の骨髄間質細胞への結合を減少させる、と考えられる。]
[0106] デキサメタゾンは、抗炎症及び免疫抑制剤として作用する、合成副腎皮質ホルモンである。癌患者に投与されると、デキサメタゾンは、癌治療の副作用を中和することができる。デキサメタゾンはまた、単独で投与することもでき、サリドマイド、アドリアマイシン、及びビンクリスチンのいずれかを含む他の抗癌剤と共に投与することもできる。]
[0107] 用語「と組み合わせて」は、正確に同一な時間における投与に限定されない。その代わり、この用語は、本発明の免疫複合体と、他のレジメン(例えば、放射線療法)及び薬剤のいずれか、特に上記細胞傷害性剤とを、順番に、かつそれらが共に作用して、本発明の免疫複合体、及び例えば他の薬剤(1種及び複数のいずれか)のいずれかのみによる処理に比べて、大きな利益を提供することができるような時間間隔内に投与することを包含する。免疫複合体、及び他の薬剤(1及び複数のいずれか)が相加的に作用することが好ましく、相乗的に作用することが特に好ましい。このような分子は、意図する目的に有効な量、好適に提供される。熟練した医療従事者であれば、経験的に、並びに薬剤の薬物動態、及び作用機序を考慮することのいずれかにより、各治療剤の適切な用量、並びに投与の適切なタイミング及び方法を決定することができる。本発明の状況で用いられるとき、「同時投与」は、多くの場合複合剤形で、免疫複合体と同時に投与することを指す。]
[0108] 用語「配列同一性」は、ヌクレオチド配列、及びアミノ酸配列のいずれかの同一性の程度を指す。一般に、最も高い水準の一致が得られるように、配列を整列させる。「同一性」は、それ自体、当該技術分野で認識されている意味を有し、公開されている技術を用いて判定することができる(例えば、Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988;Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993;Computer Analysis of Sequence Data,Part I,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994;Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987;及びSequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M Stockton Press,New York,1991を参照)。2つのポリヌクレオチド及びポリペプチド配列のいずれかの間の同一性を測定するための、多くの方法が存在するが、用語「同一性」は当業者に周知である(Carillo,H.&Lipton,D.,SIAM J Applied Math 48:1073(1988))。]
[0109] 特定の核酸分子のいずれかが、例えば、nBT062核酸配列、及びその一部のいずれかに対して、少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、及び99%のいずれか同一であるがどうかは、従来法で、初期配列整列用のDNAsisソフトウェア(Hitachi Software,San Bruno,Calif.)、続いて複数の配列整列用のESEEバージョン3.0 DNA/タンパク質配列ソフトウェア(cabot@trog.mbb.sfu.ca)等の、既知のコンピュータプログラムを用いて決定することができる。]
[0110] アミノ酸配列が、例えば配列番号1及び配列番号2のいずれか、並びにその一部のいずれかに対して、少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、及び99%のいずれか同一であるかどうかは、従来法で、BESTFITプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8 for Unix(登録商標),Genetics Computer Group,University Research Park,575 Science Drive,Madison,Wis.53711)等の、既知のコンピュータプログラムを用いて決定することができる。BESTFITは、Smith and Waterman, Advances in Applied Mathematics 2:482−489 (1981)のローカルホモロジーアルゴリズムを用いて、2つの配列間で最良の相同セグメントを見つける。]
[0111] DNAsis、ESEE、BESTFIT、及び他の配列整列プログラムのいずれかを用いて、特定の配列が、例えば、本発明に係るリファレンス配列に対して95%同一であるかどうかを決定するとき、同一性の割合がリファレンス核酸及びアミノ酸配列のいずれかの完全長に対して計算され、相同性において、リファレンス配列中のヌクレオチドの合計数の最大5%のギャップが許容されるように、パラメータを設定する。]
[0112] 本発明の状況において、特定の配列の残基の組み合わせと共に、ある配列同一性について言及する場合、この配列同一性は特定された全ての残基の合計に関連する。]
[0113] 基本的な抗体分子は、可変領域が抗原に結合し、一方残りの定常領域が抗原非依存性反応を誘発することができる、二機能性構造である。抗体の主なクラスである、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMは、定常領域により決定される。これらのクラスは、サブクラス(アイソタイプ)に更に分類することができる。例えば、IgGクラスは、定常領域により決定される、4つのアイソタイプ、即ちIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を有する。種々のヒト抗体のクラスのうち、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及びIgMのみが、補体系を有効に活性化することが知られている。定常領域は、抗原結合部位を形成しないが、定常領域、及びヒンジ領域の配置は、分子に、それが抗原と結合することを可能にする、セグメンタルフレキシビリティ(segmental flexibility)を付与することができる。]
[0114] 様々なIgGアイソタイプが、単球、B細胞、及びNK細胞のような細胞上のFc受容体に結合し、それにより細胞を活性化して、サイトカインを放出させることができる。様々なアイソタイプはまた、補体を活性化して、局所及び全身炎症のいずれかを引き起こす恐れがある。具体的には、様々なIgGアイソタイプが、FcγRに、様々な程度結合することができる。FcγRは、Igスーパーファミリーに属する表面糖タンパク質の群であり、大部分は白血球上で発現する。FcγR糖タンパク質は、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、及びFcγRIII(CD16)と名付けられた3つのクラスに分類される。IgG1、IgG2、及びIgG3は、様々なこれらのクラスのFcγR糖タンパク質に強く結合するが、IgG4は非常に弱い結合を示す。具体的には、IgG4は、FcγRIの中間結合剤であり、これは比較的低いADCC(抗体依存性細胞傷害)を生じさせるか、或いは全くADCCを生じさせず、FcγRIIIA及びFcγRIIAのいずれにも結合しない。IgG4はまた、阻害性受容体であるFcγRIIBの弱い結合剤でもある。更に、IgG4は、補体結合を僅かにしか媒介しないか、或いは全く媒介せず、補体依存性細胞傷害(CDC)を僅かにしか媒介しないか、或いは全く媒介しない。本発明の状況では、IgG4がLSEC(肝類洞内皮細胞)上のFcRγIIと全く相互作用を示さず、クッパー細胞(マクロファージ)上のFcRγI−IIIと全く相互作用を示さない、及び弱い相互作用しか示さない、のいずれかであり、肝NK細胞上のFcRγIIIと全く相互作用を示さないとき、IgG4を特異的に使用して、肝臓のFcRのFc媒介性標的を防ぐことができる。いずれかのCDCを更に減少させる特定の突然変異もまた、本発明の一部である。例えば、位置327、330、及び331におけるIgG4残基は、ADCC(抗体依存性細胞傷害)、及びCDCを減少させることが示されている(Amour,1999;Shields,2001)。抗体を安定化する突然変異の中の1つもまた、本発明の一部である(本明細書では、「安定化突然変異」とも称される)。これらの突然変異は、具体的には、IgG4のCH2領域におけるロイシンからグルタミン酸への突然変異、及びIgG4のヒンジコアにおけるセリンからプロリンへの交換を含む。これらの突然変異は、本発明のある実施形態では、半分子(half−molecule)の量を、10%未満、5%未満、好ましくは2%及び1%未満のいずれかに減少させる。更に、このように安定化した抗体のインビボ半減期は、1、2、3、4、及び5日超のいずれかを含む、数日間増加する場合がある(Schuurman,1999)。]
[0115] 本明細書に開示する標的抗体を含む標的剤はまた、抗原、具体的にはCD138に対するその結合親和性の観点で説明或いは特定することができる。標的抗体等の標的剤の好ましい結合親和性は、1.6未満、1.5未満、約1.4及びそれ未満のいずれかの解離定数KD(nM)を特徴とする。標的抗体等の標的剤を含む免疫複合体では、1.6未満、1.5未満、2.5未満、2.4未満、2.3未満、2.2未満、2.1未満、2.0未満、1.9未満、及び約1.9のいずれかの解離定数KD(nM)が好ましい。]
[0116] 本発明に係る抗原結合領域(ABR)は、使用される標的抗体及び改変された標的抗体のいずれかの種類に基づいて変化する。天然に存在する抗体、並びに大部分のキメラ及びヒト化抗体では、抗原結合領域は、軽鎖、及び重鎖の最初の2つのドメインで構成される。しかしながら、軽鎖を有しない重鎖抗体では、抗原結合領域は、例えば重鎖の最初の2つのドメインのみで構成され、一方単鎖抗体(ScFv)(抗体分子の軽鎖及び重鎖可変ドメインを1つのポリペプチド鎖に結合させた)では、ABRは、1つのポリペプチド分子のみによって提供される。FAB断片は、通常、パパイン消化により得られ、1本の軽鎖及び重鎖の一部を有し、よって抗原結合部位を1つだけ有するABRを含む。他方、二重特異性抗体は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗原断片である。しかしながら、本発明の状況では、標的抗体及び改変された標的抗体のいずれかの抗原結合領域は、標的抗体及び改変された標的抗体のいずれかの結合親和性を主に決定するいずれかの領域である。]
[0117] ABR及び別の標的抗体領域のいずれかが「ある抗体のもの」である、例えばヒト抗体及び非ヒト抗体のいずれかのものであると言う場合、これは、本発明の状況では、ABRが対応する天然に存在するABRと同一である、及びそれに基づいている、のいずれかであることを意味する。ABRは、天然に存在するABRの結合特異性を有するとき、天然に存在するABRに基づく。しかしながら、このようなABRは、例えば、点変異、付加、欠失、及びグリコシル化のいずれかのような翻訳後修飾を含んでいてもよい。このようなABRは、具体的には、天然に存在するABRの配列と、70%超、80%超、90%超、好ましくは95%超、98%超、及び99%超のいずれかの配列同一性を有してもよい。]
[0118] 標的抗体などの標的剤の、特にそれを含む免疫複合体の均一なターゲティングは、本発明の状況では、標的剤による前記標的の所望の結果を得ることに関連する分散の尺度である。本発明のある実施形態では、所望の結果は、標的への単純な結合により得られる。これは、例えば、ある標的剤がその後の結合を遮断する実施形態の場合である。しかしながら、標的剤の均一性は、例えば、前記標的剤を含む免疫複合体の有効性を介して、容易に評価することができる。例えば、腫瘍細胞の破壊、及び腫瘍の増殖停止の少なくともいずれかに関するエフェクタを含む、CD138のような腫瘍抗原に対する前記免疫複合体の有効性は、CD138抗原を発現している細胞を含む腫瘍の増殖抑制の程度により決定することができる。該免疫複合体は、その有効性が大きく変動する場合がある。例えば、その免疫複合体は時に、高い有効性によって腫瘍増殖を停止することができるが、他の時には、対照の効力を殆ど上回らない有効性しか有しない。他方、免疫複合体の有効性における変動が少ないことは、免疫複合体及び標的剤の少なくともいずれかが、それぞれ、一貫して所望の結果を提供することを示す。ターゲティングの均一性を定量化する1つの方法は、ターゲティング変動を計算することである。ある標的剤を含む免疫複合体により腫瘍増殖が停止される状況では、ターゲティング変動は、先ず腫瘍が、所定の体積、例えば300mm3に達する時間を決定することにより計算できる。好ましくは、所定の体積は、前記所定の体積に達する前、及び達した後の任意の腫瘍増殖が、ほぼ同一速度で着実に増加するように選択される。このような時間を被験体の群について決定した後、被験体(例えば、SCIDマウス、及び均一な腫瘍増殖を示す別の好適なモデルのいずれか)の群におけるこれらの時間の平均(Tm)を計算する。次いで、以下の式に従って、所定の体積についてのターゲティング変動を計算することにより、ターゲティング効率が最低であり、よって前記所定の体積に達するのに必要な時間が最も短い(Tf)腫瘍に関連する群の被験体と、他方、ターゲティング効率が最高であり、よって前記所定の体積に達するのに必要な時間が最も長い(Ts)腫瘍に関連する群の被験体とにおいて得られた知見とTmを相互に関連づける。
ターゲティング変動[%]=Ts−Tf/Tm×100]
[0119] 好ましい実施形態では、本発明の改変された標的抗体を含む免疫複合体のターゲティング変動は、150%未満、140%未満、130%未満、120%未満、110%未満、100%未満、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、及び50%未満のいずれかであり、ある実施形態では、45%未満でさえある。好ましくは、ターゲティング変動は、約10%〜約150%であり、好ましくは約10%〜約100%、約10%〜約80%、約10%〜約70%、約10%〜約60%、約10%〜約50%である。]
[0120] 標的の均一性はまた、腫瘍増殖の遅延の測定のような他の手段により定量化することもできる。また、当業者は、特定の大きさの腫瘍体積が、基準のターゲティング変動を決定することができるただ1つのパラメータであることを、容易に理解する。所望の結果に応じて、時間(例えば、腫瘍増殖の遅延を測定するための)、及び結合の割合(%)のいずれかを含む他のパラメータを使用してもよい。当業者は、このような他のパラメータを容易に決定することができる。]
[0121] 図9C及び図9Dは、マウス抗体BB4(BB4−SPP−DM1;図9C)、及びそれに基づいて改変された標的抗体nBT062(nBT062−SPP−DM1;図9D)を含む免疫複合体間の、標的/結合の均一性の差を示す。これらのグラフから分かるように、改変された標的抗体を含む免疫複合体から得られた結果は、マウス抗体を含む免疫複合体から得られた結果より、実質的に均一である。これは、BB4の抗体結合領域がnBT062において修飾されていなかったため、特に顕著である。よって、マウス抗体の抗体結合領域を含むが、他の部分はマウス抗体ではない免疫複合体は、当業者が予測した結果を遥かに超える特性を示した。] 図9C 図9D
[0122] nBT062(図1を参照)は、B−B4のキメラ化バージョンである、マウスヒトキメラIgG4mAbである。このB−B4のキメラ化バージョンは、HAMA(ヒト抗マウス抗体)反応は低下するが、CD138に対するB−B4の抗体結合領域の機能性は維持するよう作製した。驚くべきことに、改変された標的抗体を含む免疫複合体を用いて得られた結果は、遥かにより均一であった(結果の分散が減少した)。nBT062を産生するためのプロトコルを、以下に記す。nBT062を発現しているチャイニーズハムスター卵巣細胞は、2007年12月11日に、DSMZ−Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,Mascheroder Weg 1,D−38124 Braunschweigに寄託されている。識別番号は、DSMACC2875である。B−B4に基づくCD138特異的キメラ抗体を、一般に、本明細書ではcB−B4と称する。] 図1
[0123] 重鎖及び軽鎖の両方のアミノ酸配列は、nBR062のヌクレオチド配列の翻訳から予測されている。重鎖及び軽鎖について予測されるアミノ酸配列を、表1に示す。予測される可変領域を太字で表し、予測されるCDRに下線を引く。]
[0124] 表1は、nBT062の予測されるアミノ酸配列である。



C末端のリジンは、クリッピングする傾向があり、ある程度不完全なクリッピングのために存在する場合がある。
丸括弧内の(K)は、配列番号1の一部ではない。]
[0125] 表2は、Krabat及びChothiaの一般的なCDRの定義と、BT062についての予測CDRとの比較を示す。]
[0126] BT062は、細胞分裂停止性マイタンシノイド誘導体DM4に、リンカー、ここではSPDBを介して結合した、CD138標的キメラ抗体nBT062を含む、免疫複合体である。BT062の化学的表現を図1及び図2に提供する。nBT062及びマイタンシノイドエフェクタ分子を含む免疫複合体は、そのリンカー、及びマイタンシノイドエフェクタの観点で特徴付けられることが多く、例えばnBT062−SMCC−DM1は、nBT062、SMCC(チオエステル結合を含む「切断不可能な」リンカー)、及びエフェクタとしてDM1を含む免疫複合体である。より一般的に、nBT062及びエフェクタ分子を含む免疫複合体はまた、nBT062−リンカー−エフェクタ、及びただnBT062−エフェクタ(nBT062N)(Nは本明細書に記載するエフェクタのいずれかである)のいずれかとして記載することもある。] 図1 図2
[0127] 本明細書では、切断可能なリンカー(CL)を介してエフェクタ分子に結合した、CD138に対する改変された標的抗体を含む免疫複合体の立体障害のない相当物(UI:立体障害のない免疫複合体)(本明細書では、UICLと記載する)について言及し、これを前記エフェクタ分子に対する立体障害があり、切断可能なリンカーを含む免疫複合体(HICL−立体障害のある免疫複合体、切断可能なリンカー)と対比させる。UICLは、改変された標的抗体を含むが、エフェクタ分子に対する立体障害のないHICLに相当する免疫複合体である。HICL/UICL対の例は、BT062及びnBT062−SPP−DM1である。切断不可能なリンカーを含むこのような免疫複合体の立体障害のない相当物(UINCL)は、エフェクタ分子の立体障害がなく、切断不可能なリンカーを含む、改変された標的抗体を含む同等の免疫複合体を指す。BT062では、nBT062−SMCC−DM1は、このような切断不可能なリンカーを含む立体障害のない相当物の例(UNICL)を構成する。]
[0128] 免疫複合体の腫瘍の増殖を阻害する活性(=腫瘍増殖阻害活性)は、相対的な測定値である。腫瘍増殖阻害活性は、最高の性能の免疫複合体(この活性を100%として設定する)の活性に対する、複合体の腫瘍増殖阻害活性を表す。例えば、最高の性能の免疫複合体、例えば、BT062の活性(32日の腫瘍増殖の遅延(TGD)を引き起こす)を100%として設定した場合、例えば、18日の腫瘍増殖の遅延(TGD)を示す、nBT062−DM1の活性は、以下のように計算される。
腫瘍増殖阻害活性=100×(TGDnBT062−DM1/TGDBT062)、
より一般的には、
腫瘍増殖阻害活性=100×(TGDサンプル/TGDリファレンス)。]
[0129] 表3は、図11Bに示した結果から好適な例を提供する。



表3:450μg/kgの用量を投与された処理群に基づく、SCIDマウスのMOLP−8腫瘍異種移植片に対する、nBT062−DMxの腫瘍増殖の遅延(TGD)及び活性(%)
(*)処理群が所定の大きさ(160mm3)に達する平均時間(日)から、対照群がこの所定の大きさに達する平均時間を引いたときの、腫瘍増殖遅延(TGD)(日)
(**)腫瘍増殖阻害活性=100×(TGDサンプル/TGDBT062)。BT062の活性を100%であると定義する。] 図11B
[0130] 表2に提供した例では、BT062は、その立体障害のない相当物(nBT062−SPP−DM1)を60%上回る腫瘍増殖阻害活性、及び切断不可能なリンカーを含む、立体障害のない相当物の免疫複合体(nBT062−SMCC−DM1)を44%上回る腫瘍増殖阻害活性を提供する。]
[0131] 例えば、huC242−マイタンシノイド免疫複合体における切断可能なリンカーは、いわゆるバイスタンダー効果を提供できることが、既に報告されている。Goldmahkerら(米国特許出願公開第2006/0233814号明細書)はまた、標的剤から切断されて、エフェクタ分子が更なる修飾、具体的にはアルキル化を受けるとき、バイスタンダー効果が特に顕著であることも開示している。Goldmahkerらはまた、UICLが、それぞれのUINCL(例えば、米国特許出願公開第2006/0233814号明細書の図6を参照)より良好なTGDを示すことも示した。] 図6
[0132] しかしながら、HICL/UICL/UINCL免疫複合体の全体的な有効性は、免疫複合体、及び標的の少なくともいずれかによって異なるように思われる。例えば、HICLトラスツズマブ−SPP−DM4は、UINCL トラスツズマブ−SMCC−DM1により腫瘍の大きさを減少させる能力において明らかに優れているが、一方UICL免疫複合体 トラスツズマブ−SPP−DM1の性能は、対応するHICLに実質的に類似している(米国特許出願公開第2008/0171040号明細書(Ebertsら)を参照)ため、得られた結果は免疫複合体及び標的の関数で表現される。]
[0133] 図11Aは、HICLは、UICL及びUNICLより優れていることを示したが、また驚くべきことに、高単回用量レジメン(250μg/kg)におけるUICLは、実際UINCLより良い結果は全く示さないことを示す。要するに、このようなレジメンにおけるUICLで観察されたTGDの日数は、実際UINCLより短かった。この観察は、用量の増加につれて(450μg/kg)より顕著になった。即ち、図11Aに示すように、単回投与実験において、予想以上に、HICLはUICLより優れていた。これらの結果と一致して、複数回投与実験では、HICLがUICLより顕著に優れており、後者は対照をほんの僅かしか上回らない結果を提供した。加えて、UINCLは、高用量において、予想外にUICLより優れていた。] 図11A
[0134] 多発性骨髄腫の間質細胞、特に骨髄間質細胞への接着は、多発性骨髄腫患者で観察される接着媒介性薬剤耐性(CAM−DR)の原因であると考えられてきた。特定の実施形態では、本発明の免疫複合体は、CAM−DRを軽減することができる。具体的には、本発明の特定の実施形態では、この接着は、免疫複合体を前記多発性骨髄腫細胞に投与することにより、例えば少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、及びそれ以上のいずれか減少させる。図17Eに示すように、特に、UICL及びHICLは、間質細胞のみを処理したサンプル(及び、間質細胞が処理されていない場合のサンプル)において、多発性骨髄腫細胞のBMSC(骨髄間質細胞)への接着を阻害することができたが、UINCL相当物はこの効果を有していなかった。これらの結果は、接着を減少させる効果が、免疫複合体のリンカーの性質に依存し、エフェクタ分子をより容易に解離させ得る切断可能なリンカーが好ましいことを示唆する。また多発性骨髄腫細胞のBMSCへの接着が少なくとも部分的に阻害されるという事実により、CAM−DRの結果として多発性骨髄腫細胞において少なくとも十分な有効性で作用することが通常阻害されているものを含む、他の細胞傷害性剤への接近がより容易になる。よって、免疫複合体の投与を、同時に或いはその後細胞傷害性剤投与することと組み合わせることが好ましい。免疫複合体の投与と、細胞傷害性剤の投与との間の時間間隔は、12時間〜6日の間の例えば12時間、24時間、2日間、3日間、4日間、及び5日間のいずれかとすることができる。] 図17E
[0135] 本明細書に開示する、標的剤、具体的には、標的抗体、及び免疫複合体の少なくともいずれかは、静脈内に、非経口的に、経口的に、筋肉内に、髄腔内に、及びエアゾールとしてのいずれかを含む、いずれの経路で投与してもよい。送達方式は、所望の効果に応じて決定される。当業者は、本発明に従って、特定の処理についての最良の投与経路を容易に知る。適切な用量は、投与経路、及び指示された処理に応じて決定され、現在の治療プロトコルを考慮して当業者が容易に決定することができる。]
[0136] 活性成分として、本発明の免疫複合体及びいずれかの更なる細胞傷害性剤の少なくともいずれかを含有する医薬組成物は、従来の医薬品調合技術に従って調製することができる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th Ed.(1985,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.)を参照。典型的には、有効量の活性成分を、薬学的に許容される担体と混合する。担体は、例えば、静脈内、経口、非経口、髄腔内、経皮、及びエアゾールのいずれかとして等、投与にとって望ましい製剤形態に応じて、広範な形態をとることができる。]
[0137] 経口投与では、免疫複合体及び細胞傷害性剤の少なくともいずれかを、カプセル、丸剤、錠剤、ロゼンジ剤、溶解物(melt)、粉剤、懸濁液、及びエマルションのいずれか等の、固体製剤及び液体製剤のいずれかに配合することができる。経口剤形の組成物の調製では、経口液体製剤(例えば、懸濁液、エリキシル剤、及び溶液)の場合、例えば、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、防腐剤、着色剤、懸濁剤等、或いは経口固体製剤(例えば、粉剤、カプセル、及び錠剤)の場合、デンプン、砂糖、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤等の、通常の医薬媒質のいずれを使用してもよい。投与が容易であるため、錠剤及びカプセルが最も有利な経口単位剤形を表し、この場合無論固体医薬担体が使用される。必要に応じて、錠剤は、標準的な技術により糖コーティングしてもよく、腸溶性コーティングを施してもよい。活性剤は、消化管を通過するために安定でなければならない。必要な場合、安定な通過に好適な薬剤を用いてもよく、文献に記載されているリン脂質及びレシチン誘導体のいずれか、並びにリポソーム、微粒子(ミクロスフィア及びマクロスフィアを含む)を含んでいてもよい。]
[0138] 非経口投与では、免疫複合体及び細胞傷害性剤の少なくともいずれかを、医薬担体に溶解させ、溶液及び懸濁液のいずれかとして投与してもよい。好適な担体の例は、水、生理食塩水、リン酸緩衝溶液(PBS)、デキストロース溶液、フラクトース溶液、エタノール、並びに動物油、植物油、及び合成起源の油の少なくともいずれかである。担体はまた、他の成分、例えば、防腐剤、懸濁剤、可溶化剤、緩衝剤等を含有していてもよい。複合体化していない標的剤、及び免疫複合体の少なくともいずれかと、細胞傷害性剤との少なくともいずれかを、脳室内、及び髄腔内のいずれかに投与するとき、それらはまた脳脊髄液に溶解する場合もある。]
[0139] 被験体に投与される用量は、被験体(ヒト及び非ヒト動物を含む)の表面積当たり、定められた量であってもよい。用量は、このような被験体に、好ましくは、約5mg/m2〜約300mg/m2(約20mg/m2、約50mg/m2、約100mg/m2、約150mg/m2、約200mg/m2、及び約250mg/m2を含む)であるが、これに限らない量投与することができる。免疫複合体が細胞傷害性剤と組み合わせて投与される、特定の実施形態では、免疫複合体の用量は少なくてもよい。免疫複合体は、好適には、1回に、及び一連の処理の間のいずれかに投与される。複数回投与レジメンでは、これらの量を、1日1回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、及び6週間に1回のいずれかの間隔で投与してもよい。単一高用量、及び互いの直後に、続いてより長い間隔で投与される複数回の低用量のいずれかを含む負荷用量が、本発明の好ましい実施形態を構成する。好ましい実施形態では、投薬のタイミングは、2回目の処理及び任意のその後の処理のいずれかの前に十分な時間が経過し、その結果前回の用量が実質的に代謝されているが、被験体の系に存在する免疫複合体の量が、依然として腫瘍の増殖の阻害、遅延、及び防止の少なくともいずれかを行うように、被験体に応じて調整される。代表的な「反復単回用量」レジメンは、3週間に1回、約200mg/m2の免疫複合体の初期量を投与することを含む。或いは、高初期量に続いて、1週間に2回、約150μg/m2の維持量を投与してもよい。しかしながら、他の投薬レジメンが有用である場合がある。この治療の進行は、既知の技術及びアッセイにより容易にモニタされる。用量は、それが予防目的のために投与されるか治療目的のために投与されるか、任意のそれ以前の治療の過程、患者の臨床歴、及び標的剤/免疫複合体に対する反応、並びに主治医の裁量に応じて、変更してもよい。]
[0140] 1つの実施形態では、免疫複合体は、同一疾患の治療に有効であるが、免疫複合体無で投与されるとき、CAM−DRを考慮して有効性が限定されることが多い、1以上の追加的な細胞傷害性剤と共に投与され;例えばCD138特異的免疫複合体は、デキサメタゾンと組み合わせて投与することもできる。具体的には、デキサメタゾンは、免疫複合体を投与した2時間後、有効量がそれを必要としている患者に投与される。]
[0141] 従って、本発明の免疫複合体はまた、具体的には、高用量化学療法(好ましくは、メルファラン、メルファラン/プレドニゾン(MP)、ビンクリスチン/ドキソルビシン/デキサメタゾン(VAD)、リポソーマルドキソルビシン/ビンクリスチン、デキサメタゾン(DVd)、シクロホスファミド、エトポシド/デキサメタゾン/シタラビン、シスプラチン(EDAP))、幹細胞移植(例えば、自己幹細胞移植及び同種幹細胞移植のいずれかと、ミニ同種(骨髄を破壊しない)幹細胞移植との少なくともいずれか)、ステロイド(例えば、副腎皮質ホルモン、デキサメタゾン、サリドマイド/デキサメタゾン、プレドニゾン、メルファラン/プレドニゾン)、支持療法(例えば、ビスホスホネート、成長因子、抗生物質、静脈内免疫グロブリン、低線量放射線療法、及び整形外科的介入の少なくともいずれか)、サロミド(サリドマイド、Celgene)、ベルケイド(ボルテゾミブ、Millennium)、及びレブリミド(レナリドマイド)(Chelgene corporation)の少なくともいずれかと、放射線療法との少なくともいずれかを含む他の多発性骨髄腫治療を用いた治療レジメンで投与してもよい。]
[0142] 本発明の免疫複合体を細胞傷害性剤と組み合わせて投与する場合、上記用量及びレジメンが維持されることが多い。しかしながら、免疫複合体及び細胞傷害性剤を同時投与する場合、ある実施形態では、これらの治療的成分のそれぞれが低用量であることが好ましい。このような状況では、免疫複合体は、約5mg/m2〜約100mg/m2(約20mg/m2、約50mg/m2を含む)の用量で投与することができるが、細胞傷害性剤は、単独で投与されるときに推奨されている用量で投与される。]
[0143] 細胞培養に基づく実験(図7)及びマウスの実験(図8A〜図11B)で得られた実験データを、これらの知見を更に支持する実験により、更に確認した。] 図10 図11A 図11B 図8A 図8B 図8C 図8D 図9A 図9B 図9C
[0144] 多発性骨髄腫の発症機序は、骨髄腫細胞が、細胞表面接着分子を介して、骨髄間質細胞(BMSC)だけではなく、細胞外マトリックス(ECM)にも結合することを含む。この結合が、多発性骨髄腫細胞増殖、薬物耐性、及び骨髄環境におけるMM細胞の移動を誘発し、最終的には原因となり得る(Munshi et al.2008)。具体的には、シンデカン−1(CD138)を介した、ECMのI型コラーゲンへの、多発性骨髄腫細胞の接着は、マトリックスメタロプロテイナーゼ1の発現を誘導し、よって骨の再吸収及び腫瘍の侵入を促進する(Hideshima et al.2007)。多発性骨髄腫と骨髄微小環境との間の相互作用によって、多面的、増殖性、及び抗アポトーシス性カスケードが活性化する。]
[0145] 多発性骨髄腫細胞の骨髄間質コンパートメントへのホーミング後、多発性骨髄腫細胞とBMSCとの間の接着が、血管新生性及び腫瘍増殖促進活性を有する、多くのサイトカイン様インターロイキン−6(IL−6)及びインスリン様増殖因子1(IGF−1)を上方制御する(Hideshima et al.2007)。これらのサイトカインにより始まるシグナル伝達カスケードにより、次第に従来の治療に対するMM細胞の耐性が生じる(Anderson et al.2000;Hideshima et al.2006)。]
[0146] ヒト骨髄の存在下における、CD138陽性腫瘍細胞に対するnBT062−SPDB−DM4及びnBT062−SPP−DM1のインビボでの有効性を、マウスモデルで分析し、この分析結果を図12に示す。図は、HICL及びUICLの両方がこの環境で良好に機能することを示す。このモデルにおいて、MM細胞増殖のパラメータとして用いることができるshuIL−6Rのレベル上昇は、これらの免疫複合体により両方抑制された。] 図12
[0147] 本発明に従って、例としてBT062を用いて、MMを以下のように治療する。この例は、如何なる方法によっても本発明を限定することを意図するものではなく、当業者は、本発明の範囲内である他の免疫複合体及びnBT062のいずれかに基づく系、及びMMのような疾患の治療に利用することができる他の治療レジメンを容易に決定することができる。]
[0148] 血流が接近可能な細胞上における、患者のMM細胞上でのCD138の選択的発現、血流中におけるnBT062の特異性、及びBT062の安定性により、BT062はDM4の全身毒性を除去し、DM4エフェクタ分子(1及び複数のいずれか)の送達を標的とする機会を提供する。本発明の免疫複合体は、エフェクタ分子が免疫複合体から放出され得る細胞部位に、エフェクタ分子を有効に投与するための手段を提供する。]
[0149] 1種以上の細胞傷害性剤を、ある用量及び剤形で、これらの細胞傷害性剤の確立された治療プロトコルに従って、本発明の免疫複合体で治療される個体に投与する。]
[0150] 具体的には、患者は、例えば始めは毎日、次いで週1回等の特定の間隔で、本発明に従って、適切な用量のBT062、例えば100mg/m2を用いる治療レジメを受ける。各週1回の免疫複合体治療の12時間後、患者はまた、例えば、製造業者の取扱説明書に従って経口用量を患者に投与することにより、メルファランで処理される(例えば、商標名ALKERANとして流通している丸剤)。]
[0151] 本発明に従って、具体的には、固形腫瘍はまた、例としてBT062を用いて以下のように治療され得る。この例は、如何なる方法によっても本発明を限定することを意図するものではなく、当業者は、本発明の他の免疫複合体、及び固形腫瘍の治療に利用することができる他の治療レジメンを容易に決定することができる。始めに、腫瘍を、例えば放射活性的に治療して、腫瘍の大きさを減少させる。その後BT062、続いてある用量の細胞傷害性剤を、例えばALKERAN丸剤の形態で投与することにより、残りの癌細胞をなくすために非常に有効な手段が提供される。免疫複合体の投与により、これらの残りの細胞を特異的に標的とし、標的部位でエフェクタ分子を放出させることが可能になる。免疫複合体は、それ自身の活性に対するCAM−DRを克服する、或いはCAM−DRを減少させるだけでなく、多発性骨髄腫細胞の間質細胞への接着を阻害するという事実に起因し、免疫複合体はまた、他の細胞傷害性剤に対するCAM−DRも克服する、或いは減少させる。免疫複合体の高い有効性により、好ましい実施形態では、単回用量レジメンが可能になる。]
[0152] 本発明は、以下の実施例を参照することにより更に説明されるが、実施例は例示目的のために提供され、如何なる方法によっても本発明を限定することを意図するものではない。当該技術分野において周知である標準的な技術、及び以下に明確に記載されている技術のいずれかが利用される。]
[0153] 材料及び方法
キメラ抗体の構築(cB−B4:nBT062)
B−B4
既に特性評価されているマウス抗体B−B4(Wijdenes et al.,Br J Haematol.,94(1996),318)を、これらの実験で用いた。]
[0154] B−B4及びcB−B4/nBT062のクローニング及び発現
J.Sambrook;Molecular Cloning,A Laboratory Manual;2nd Ed.(1989),Cold Spring Harbor Laboratory Press,USAなどのテキストブックに詳述されているように、或いはキットを用いる場合は製造業者の取扱説明書により推奨されているように、標準的な組み換えDNA技術を実施した。マウス可変領域のPCR−クローニング及び修飾は、標準的なPCR法を用いて実施した。用いたプライマーはそれぞれの結果のセクションに示した。]
[0155] cB−B4/nBT062の発現
10%のFCS、580μg/mLのL−グルタミン、50ユニット/mLのペニシリン、及び50μg/mLのストレプトマイシンを添加したDMEM中で培養した、対数増殖期のCOS細胞を、トリプシン処理により回収し、遠心分離して、PBSで洗浄した。最終濃度が1×107細胞/mLになるように、細胞をPBSに再懸濁した。700μLのCOS細胞懸濁液を、Gene Pulserキュベットに移し、重鎖及びカッパ軽鎖発現ベクターDNA(それぞれ10μg、及び13μgのいずれかのSupervector)と混合した。Bio−Rad Gene Pulserを用いて、1900V、25μFで細胞を電気穿孔処理した。形質転換された細胞を、10%のガンマグロブリン遊離FBS、580μg/mLのL−グルタミン、50ユニット/mLのペニシリン、及び50μg/mLのストレプトマイシンを添加したDMEM中で72時間培養し、その後、抗体含有細胞培養上清を回収した。]
[0156] cB−B4/nBT062の発現レベルを測定するためのキャプチャーELISA
96ウェルプレートを、PBSで希釈した0.4μg/mLのヤギ抗ヒトIgG抗体の100μLのアリコートでコーティングした(4℃、一晩)。プレートを、200μL/ウェルの洗浄緩衝液(PBS+0.1%のTween−20)で3回洗浄した。ウェルを、0.2%BSA−PBS溶液、0.02%Tween−20−PBS溶液でブロッキングして、その後分泌された抗体を含有する200μLの細胞培養上清(37℃で1時間インキュベート)を添加した。ウェルを、洗浄バッファーで6回洗浄し、その後ヤギ抗ヒトカッパ軽鎖ペルオキシダ−ゼ複合体と結合した抗体を検出した。]
[0157] 細胞培養上清からのcB−B4/nBT062の精製
製造業者の推奨に従って、Protein A ImmunoPure Plus kit(Pierce,Rockford,IL)を用いて、形質転換されたCOS7細胞の上清から、cB−B4抗体を精製した。]
[0158] cB−B4結合及び競合アッセイ
B−B4及びcB−B4のCD138への結合活性の分析を、Diaclone(Besancon,France)sCD138 kitを用いて、製造業者の推奨に従って、結果のセクションに記載した変化を考慮して実施した。]
[0159] RNA調製及びcDNA合成
ハイブリドーマB−B4細胞を増殖させ、Qiagen Midi kit(Hilden,Germany)を用いて処理して、製造業者のプロトコルに従ってRNAを単離した。約5μgのB−B4 RNAを逆転写させて、Amersham Biosciences(Piscataway,NJ)1st strand synthesis kitを用いて、製造業者のプロトコルに従ってB−B4 cDNAを作製した。]
[0160] B−B4免疫グロブリンcDNAのクローニング
免疫グロブリン重鎖(IgH)cDNAを、IgHプライマーMHV7(5’−ATGGGCATCAAGATGGAGTCACAGACCCAGG−3’)(配列番号3)、及びIgG1定常領域プライマーMHCG1(5’−CAGTGGATAGACAGATGGGGG−3’)(配列番号4)を用いて、PCRにより増幅した。同様に、免疫グロブリン軽鎖(IgL)を、それぞれプライマーMKC(5’−ACTGGATGGTGGGAAGATGG−3’)(配列番号8)と組み合わせた、3種の異なるIgKプライマーMKV2(5’−ATGGAGACAGACACACTCCTGCTATGGGTG−3’)(配列番号5)、MKV4(5’−ATGAGGGCCCCTGCTCAGTTTTTTGGCTTCTTG−3’)(配列番号6)、及びMKV9(5’−ATGGTATCCACACCTCAGTTCCTTG−3’)(配列番号7)を用いて増幅した。全ての増幅産物を、製造業者の取扱説明書に従って、TOPO−TA cloning kit(Invitrogen,Carlsbad,CA)を用いて、pCR2.1−TOPOベクターと直接ライゲーションした。
ライゲーションしたpCR2.1ベクターのコンストラクトで形質転換したE.coli TOP10 bacteria(Invitrogen)を、LB−アンピシリン−Xgal寒天プレート上で選択した。少量の培養物に単一白色コロニーを接種し、一晩増殖させ、QIAprep Spin Miniprep kitを用いて、製造業者の取扱説明書に従って、プラスミドを単離した。]
[0161] cDNAの配列決定
BigDye Termination v3.0 Cycle Sequencing Ready Reaction Kit(ABI,FosterCity,CA)を用いて、プラスミドの配列を決定した。選択された各プラスミドを、1210及び1233プライマーを用いて、GeneAmp9600PCR装置で増幅させ(cycle)両方向に配列決定した。電気泳動配列分析を、ABIキャピラリシーケンサで行った。
RT−PCRの完全サイクル、クローニング、及びDNA配列分析を繰り返して、各免疫グロブリン鎖について、完全に独立な3つの配列情報のセットを得た。]
[0162] B−B4 VKのDNA配列
1st strand synthesisを3つの独立な反応で実施した。プライマーMKC及びMKV2(上記配列)を用いて作製したRCP産物を、製造業者の取扱説明書に従ってpCR2.1−TOPOベクターにライゲーションした。RT−PCR反応のそれぞれの独立なセットから得られたクローンを、両方向に配列決定した。MKV−2プライマーを用いた産物の配列は、MOPC−21、SP2、及びAg8のような骨髄腫融合パートナーを起源とする無菌カッパ転写産物に非常に類似していたため((Carroll et al.,Mol Immunol.,25(1988),991;Cabilly et al.,Gene,40(1985);157)、無視した。
MKV4及びMKV9プライマーと共にMKCを用いたPCR産物は、互いに類似しており、リーダー配列プライマー内のゆらぎ(wobble)の位置のみが異なっていた。]
[0163] B−B4 VHDNA配列
1st strand合成を3つの独立な反応において実施し、PCR産物を各1st strand産物からクローニング及び配列決定した。5つのクローンを各1st strandから配列決定した。]
[0164] キメラcB−B4発現ベクターの構築
キメラ発現ベクターの構築は、VH及びVKに、BamHI制限酵素部位及びKozak配列が先行する、好適なリーダー配列を付加することを必要とする。Kozak共通配列は、可変領域配列の効率的翻訳にとって極めて重要である。Kozak共通配列は、そこからリボソームが翻訳を開始することができる正確なAUGコドンを規定し、1つの最も重要な塩基は、AUG開始の上流、−3の位置にあるアデニン(或いはそれ程好ましくはないが、グアニン)である。リーダー配列は、Kabatデータベースにおいて最も類似する配列として選択される(Kabat et al.,NIH National Technical Information Service,1991)。これらの付加は、フォワード(For)プライマー内にコードされる(両方、配列5’−AGAGAAGCTTGCCGCCACCATGATTGCCTCTGCTCAGTTCCTTGGTCTCC−3’(配列番号9)を有する;制限酵素部位には下線をひき、GCCGCCACCはKozak配列である)。更に、キメラ発現ベクターの構築は、B−B4のJ領域の3’末端に隣接する、天然ApaI制限酵素部位に至るまで、ヒトガンマ1定常領域の5’断片を導入し、軽鎖には、スプライス供与部位及びHindIII部位を付加することを必要とする。スプライス供与部位は、可変領域配列を、適切な定常領域へ正確にインフレームで結合させ、V:Cイントロンを切り出すのに重要である。カッパイントロン+CKは、B−B4のVK配列の下流の発現コンストラクトにコードされる。同様に、ガンマ−4 CHは、B−B4VH配列の下流の発現コンストラクトにコードされる。
B−B4 VH及びVK遺伝子を先ず注意深く分析して、不所望のスプライス供与部位、スプライス受容部位、Kozak配列、並びにその後機能的全抗体のサブクローニング及び発現の少なくともいずれかに干渉する、任意の余分なサブクローニング制限酵素部位の存在を全て同定した。アミノ酸配列を変化させることなくPCRを介して部位特異的突然変異誘発により除去する必要があった、不所望なHindIII部位がVK配列中に見出された。この反応では、オリゴヌクレオチドプライマーBT03(5’−CAACAGTATAGTAAGCTCCCTCGGACGTTCGGTGG−3’)(配列番号10)及びBT04(5’−CCACCGAACGTCCGAGGGAGCTTACTATACTGTTG−3’)(配列番号11)を用いて、Stratagene(La Jolla,CA)Quickchange Mutagenesis Kitのプロトコルに従って突然変異誘発を実施した。]
[0165] カッパ鎖キメラ化プライマー
非多義性B−B4 VKリーダー配列(PCRプライマー配列とは独立)を、Kabatデータベースにおけるマウスリーダー配列と整列させた。B−B4 VHリーダー配列に最もよく一致していたのは、VK−10 ARS−Aであった(Sanz et al.,PNAS,84(1987),1085)。このリーダー配列は、SignalPアルゴリズムにより正確に切断されることが予測される(Nielsen et al.,Protein Eng,10(1997);1)。pKN100発現ベクターにクローニングするために、プライマーCBB4Kfor(上記参照)及びg2258(5’−CGCGGGATCCACTCACGTTTGATTTCCAGCTTGGTGCCTCC−3’(配列番号12);制限酵素部位に下線を引く)を設計して、この完全リーダー、B−B4 VK領域、並びにHindIII及びBamHI末端制限酵素部位を含むPCR産物を作製した。フォワードプライマーCBB4Kは、HindIII制限酵素部位、Kozak翻訳開始部位、及びVK−10 ARS−Aリーダー配列を導入する。リバースプライマーg2258は、スプライス供与部位、及びBamHI制限酵素部位を導入する。得られた断片を、pKN100のHindIII/BamHI制限酵素部位にクローニングした。]
权利要求:

請求項1
CD138発現腫瘍細胞への間質細胞の接着を、それを必要としている被験体の腫瘍細胞において減少させる方法であって、前記腫瘍細胞に、前記CD138発現腫瘍細胞を標的とする免疫複合体を、CD138発現腫瘍細胞への間質細胞の接着を減少させるのに有効な量接種する工程と、任意的に、前記腫瘍細胞に、更なる細胞傷害性剤を、腫瘍細胞の増殖の阻害、遅延、及び防止の少なくともいずれかを行う量接種する工程と、を含むことを特徴とする方法。
請求項2
免疫複合体が、エフェクタ分子及び標的剤を含み、前記エフェクタ分子及び前記標的剤が、切断可能なリンカーを介して互いに結合している、請求項1に記載の方法。
請求項3
切断可能なリンカーが、ジスルフィド結合を含む、請求項2に記載の方法。
請求項4
リンカーが、N−スクシニミジル4−(2−ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP)及びN−スクシニミジル4−(2−ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB)のいずれかである、請求項3に記載の方法。
請求項5
接着が、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、及びそれ以上のいずれか減少する、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
請求項6
接着の減少により、接着媒介性薬剤耐性が軽減する、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
請求項7
免疫複合体ではない更なる細胞傷害性剤に対する接着媒介性薬剤耐性を減少させ、前記更なる細胞傷害性剤が、腫瘍細胞の増殖の阻害、遅延、及び防止のいずれかを行う量接種される、請求項6に記載の方法。
請求項8
細胞傷害性剤が、メルファラン、ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメサゾン、シクロホスファミド、エトポシド、シタラビン、シスプラチン、サリドマイド、プレドニゾン、サリドマイド、ボルテゾミブ、レナリドマイド、ソラフェニブ、ロミデプシン、及びこれらの組み合わせのいずれかである、請求項7に記載の方法。
請求項9
細胞傷害性剤が抗体に基づく、請求項7に記載の方法。
請求項10
エフェクタ分子が立体障害を有する、請求項1及び2のいずれかに記載の方法。
請求項11
エフェクタ分子が、少なくとも1種のマイタンシノイド、タキサン、CC1065、及びこれらの類似体のいずれかである、請求項1及び2のいずれかに記載の方法。
請求項12
エフェクタ分子が、DM1、DM3、及びDM4のいずれか等の、少なくとも1種のマイタンシノイドである、請求項11に記載の方法。
請求項13
エフェクタ分子がDM4である、請求項12に記載の方法。
請求項14
免疫複合体の標的剤が、免疫グロブリン重鎖及びその一部のいずれかのアミノ酸配列を含み、免疫グロブリン重鎖及びその一部のいずれかのアミノ酸配列が、配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、及び少なくとも98%のいずれかの配列同一性を有する、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
請求項15
免疫複合体及び細胞傷害性剤が、連続して接種され、細胞傷害性剤の接種が、免疫複合体の接種後に行われる、請求項7に記載の方法。
請求項16
免疫複合体及び細胞傷害性剤が同時接種される、請求項7に記載の方法。
請求項17
被験体が、多発性骨髄腫、卵巣癌腫、腎臓癌腫、胆嚢癌腫、乳癌腫、前立腺癌、肺癌、結腸癌腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄芽球性白血病(AML)、固形組織肉腫、及び結腸癌腫のいずれか1種に罹患している癌患者である、請求項1から4及び7から9のいずれかに記載の方法。
請求項18
患者が、多発性骨髄腫に罹患している、請求項17に記載の方法。
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